何のため? 駅に入るためだけの「定期入場券」とは もはや風前の灯火か
鉄道の定期券は、列車に乗るためのものだけではありません。改札内やコンコースに入るためだけの「定期入場券」とは、誰がどう使うのでしょうか。一部の駅だけで発行されていますが、その数も減りつつあります。
ICは不可 「定期入場券」とは?
鉄道で一般的に「定期券」といえば、1か月や3か月などの設定があり、所定の定期運賃を払って特定の期間・区間において列車が乗り放題になるものです。ただ定期券には、列車に乗ることを目的としないものもあります。
それが「定期入場券」と呼ばれるもの。その名の通り、駅の「入場券の定期券」です。
定期入場券は、かつて旅館などの従業員が駅構内を送迎する目的などで使用されたといいます。現在、JRでは特定の駅において「特に必要と認められる場合に限って」発行するとされています。
その駅の一つが、JR中央線の「高尾駅」です。同駅は駅南北の往来が不便であるため、東京都八王子市が65歳以上の人や障害者を対象に、駅構内の通り抜けに必要な普通入場券もしくは定期入場券の購入補助を行っています。
同様の制度が設けられているのが、東武線の春日部駅です。埼玉県春日部市による同駅での補助事業は、ベビーカー利用者なども想定し、未就学児の保護者も対象としています(高齢者については75歳以上対象)。駅に東西自由通路などがなく、バリアフリー対策が十分でないためとされています。
しかし、高尾駅は駅の橋上化とあわせた南北自由通路が整備されるまで、春日部駅は高架化までの時限的な対策とされています。特に春日部駅は2031年の完成を目指して高架化が進められており、この事業が不要になるメドも見えてきている状況です。
ちなみに、定期入場券はICカードでは設定されていませんが、2021年から、JR東日本はIC入場サービス「タッチでエキナカ」をスタート。一部駅では、エキナカ商業施設で買い物をすると、入場券相当額のポイントバックで実質0円になるキャンペーンなども行っています。定期入場券やその補助事業だけでなく、紙の入場券自体が、ますますレアなものになりつつあるのかもしれません。
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