「国産旅客機つくるぞ!」経産省が今ブチ上げたワケ 「MSJ失敗」の轍は踏めない…どんな戦略が?

経済産業省が国産ジェット旅客機の開発へ、再び動きを進めました。三菱MSJが失敗した直後のこの発表。国がこのタイミングで再び乗り出す背景には何があるのでしょう。

「どうしても実用化したいなら奥の手も…」とはいかず?

 仮に再挑戦する機体がTC取得にまでたどり着いた場合、MSJの轍を踏まない手段は考えられるのでしょうか。ひとつ有効なのではないかと一部で浮上している策は、米国のTC取得前に日本の国土交通省航空局がTCを発効し、日本国内でのみ運航し知見を蓄えた末にFAA(アメリカ航空局)のTCを取得するというものです。

 実際MSJでも日本のTC先行が有効、との声もありました。ちょうど、中国がARJ21やC919を自国内でのみ運航させているのと同じ手法です。

Large 20240407 01
佐賀空港のYS-11旅客機(乗りものニュース編集部撮影)。

 MSJでは、国内航空会社の受注数は57機と限られていたことから、世界をマーケットとするうえで、どこまで国内先行策が有効だったか分かりません。むしろ、日米関係の下でFAAのTCも同時に取らなければ、世界中から日本の技術力が疑問視される可能性すらあります。となると、現状ではあくまで、FAAをはじめとする各当局のTC取得を目指すスタンダードな手法が取られると見られます。

 国産旅客機への再挑戦は、経産省がどれほど本気か、産業界にそれがしっかり波及するかを今後見ていかねば結論は出ません。MSJ失敗を身に染みて知る関係者が活躍しているうちに、失敗のままでは「もったいない」、それを「有効活用」するのが良いとの判断は理解できます。

 一方、日本の航空機産業が取り組む航空自衛隊の「次期戦闘機」は英伊と共同開発なだけに、開発力も生産への雇用も3か国で分割されます。そのため、民間旅客機にも再度望みを託した可能性もあります。

 MSJの開発が始まったのは、YS-11の生産が終了した1973年から35年後でした。経産省は2035年の量産を目指すとするだけに、開発のゴーサインにさえも時間的な余裕はないと言えます。

【了】

【画像】こんなんあったの… 実は構想あった「国産3発旅客機」の全貌

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. ロシア軍の戦闘機が「真正面から撃破される瞬間」を捉えた映像が公開 ドローンの突入を防げず
  3. 「海自最大の護衛艦」と「世界最大級の軍艦」が洋上で並んだ! 圧巻の編隊航行を上空から捉えたショットが公開
  4. 海自艦がロシア海軍の「超静かな潜水艦」を確認!浮上航行する姿を捉えた画像を防衛省が公開
  5. 都市に迫るロシア軍の「弾道ミサイル」が“空中で木っ端みじん”になる瞬間をウクライナ軍が公開 追尾から撃墜まで詳細に
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  3. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  4. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号