「川勝知事の辞職」=「リニア一気に進展」なのか そもそもなぜあっさり退場? すでにできていた“枠組み”

静岡県の川勝平太知事が、辞職の意向を表明しました。川勝知事はリニア中央新幹線の県内着工を巡りJR東海と対立を続けてきましたが、辞職により事態は進展するのでしょうか。

「リニア前進」の枠組みはできている?

 静岡県の川勝平太知事は2024年4月2日、新規採用職員への訓示で職業差別発言をしたことが問題視されたことを受け、6月末で知事を辞職すると表明しました(編集部注:その後、4月10日にも辞職願を県議会に提出するという報道がありました)。川勝知事はリニア中央新幹線静岡工区の着工を巡り、大井川の流量減少問題や南アルプスの残土置き場などに対する懸念を示し、JR東海と激しいつばぜり合いを繰り広げてきました。

 静岡工区の工事契約は2017年3月に締結されていますが、静岡県が着工を許可しないため全く工事が進んでいません。2020年6月には「月内に着工できないと2027年の開業は難しい」と表明しましたが、それから4年が経過しても進捗はありません。

 JR東海は2023年12月に事業計画上の開業時期を「2027年」から「2027年以降」に変更。2024年3月29日には正式に2027年開業を断念し、早くても2034年以降になると正式に表明したところでした。そこに飛び込んできた突然の辞職表明。膠着状態にあるリニア計画は今後、どのように進展するのでしょうか。

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リニア実験線を走る試験車両(画像:写真AC)。

 一部には辞職でリニア事業が一気に進むという期待もありますが、大前提として確認しておきたいのは、第一に後継知事がリニア推進派になる保証はないこと。そして推進派知事になったとしても、すでに動き出している仕組みは変わらないということです。

 川勝知事はこれまでも度重なる問題発言が批判されてきましたが、リニア建設が始まった2014年以降の2回の知事選で圧勝しています。もちろん政策ひとつひとつの支持、不支持はあるにせよ、静岡県民は川勝知事に信任を与えてきました。川勝氏が信を失ったとしても、リニアに対する疑念は失われていないかもしれません。

 ただ静岡県はJR東海と10年にわたって議論を続けてきました。リニア反対派の新知事が誕生したとしても、今さら議論をひっくり返してゼロから始めるわけにはいきません。賛成派であれ、反対派であれ、県政としての継続性、一貫性があります。

 では静岡県との議論はどのように変わっていくのでしょうか。

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コメント

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1件のコメント

  1. 川勝と鈴木修は、国賊だと思いますね。