「路線図にない区間」を走る異色特急が大変化!「超豪華グリーン車」連結 別格すぎる臨時列車とは?

新たな特急「鎌倉」に乗ってみた

 使用車両がE257系からE653系に変わった特急「鎌倉」に、吉川美南~鎌倉間で乗車してみました。

 始発駅となる吉川美南駅は、2012年に開業した比較的新しい駅です。同駅西口は武蔵野操車場跡地などの再開発で「イオンタウン吉川美南」などの商業施設や住宅地が形成され、「ニュータウン」といった雰囲気。対して東口は、もともとが農業地域であることもあり、駅前は「何もない」状態です。現在は区画整理事業の最中で、商業・業務ゾーン、産業ゾーン、沿道サービスゾーン、住宅ゾーン、公園・調整池などを配置する事業が進められています。
 
 吉川美南駅構内では、特急「鎌倉」の始発駅であることから、この列車をPRするポスターやパンフレットが目につきました。また、同駅は武蔵野線から常磐線に直通する臨時特急の停車駅でもあるほか、今年からは足利まで直通する「あしかが大藤吉川美南号」の始発駅となるなど、最近は臨時特急が多く行き交う駅となっています。

「鎌倉」は吉川美南駅を7時48分に出発。今回は「国鉄色」塗装のE653系(K70編成)がやってきました。このE653系は「フレッシュひたち」を引退後は新潟地区に転属し、羽越線の特急「いなほ」として使用された後、常磐線の勝田車両センターに戻り、首都圏の臨時列車を中心に使用されています。「フレッシュひたち」時代は全車が普通車でしたが、新潟地区に転属した際に改造を受け、グリーン車が設けられました。

 そのグリーン車に入ると、最近では珍しくなった1+2列の大きな座席が目につき、デッキ横にはフリースペースまであります。特筆すべきは、座席と座席の間が壁で仕切られているため、後ろの人を気にすることなくリクライニングシートの「全倒し」が可能なことです。
 
 E653系のグリーン車は、「普通車2席分」を「グリーン車1席分」としているため、シートピッチは1820mm。一般的なグリーン車は1160mmのため、いかに広いかが伺えます。ちなみに、E653系は普通車のシートピッチは910mmで、E257系の普通車(960mm)より狭くなります。

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吉川美南駅では臨時特急「鎌倉」を猛アピール(乗りものニュース編集部撮影)。

 列車は吉川美南駅を出ると、武蔵野線内を進み、埼玉県を横断していきます。グリーン車から見る車窓は、通勤電車のE231系や209系から見える景色と同じではありますが、豪華な空間ということもあり、新鮮さを感じます。列車は南越谷、武蔵浦和、北朝霞、新秋津に停車。その次の西国分寺でまとまった乗車がありました。西国分寺を出ると、次は横浜まで時刻表上はノンストップとなります。

 府中本町駅を通過すると、いよいよ路線図に書かれていない「武蔵野南線」に入ります。しばらく南武線の線路と並行して走りますが、多摩川を渡った付近で南武線の線路が離れ、しばらくトンネル内を走ります。明かり区間に出ると、進行方向左側に梶ヶ谷貨物ターミナル駅(川崎市宮前区)が出現。再度トンネル区間となり、JR貨物の新鶴見機関区付近を通った後、横須賀線に並行して進み、鶴見駅付近に到着しました。
 
 その後、列車は横須賀線に入り、多くの人が街歩きを楽しんでいる北鎌倉に停車した後、終点の鎌倉には9時36分に到着。鎌倉到着後は回送列車となり、一駅先の逗子駅にある留置線に入線し、折り返しの吉川美南行きとなるまで待機することになります。
 
 鎌倉はゴールデンウィークに多くの人を集めますが、周辺道路や駐車場が慢性的に混雑することを考慮すると、鉄道利用のメリットは大きいと言えます。観光客だけでなく、鉄道ファンにとっても見どころ満載の列車で、今後の変化が注目されます。

【了】

【画像】そこか!「路線図にない区間」のルート&超豪華グリーン車

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