試験機でもないのに全然飛ばず引退の「コンコルド」…なぜ? 総飛行時間は「フツーの10分の1」
長きにわたり定期旅客便に就航した世界唯一の超音速旅客機「コンコルド」のなかには、量産機にも関わらず飛行時間が極端に少ない機体が存在します。なぜなのでしょうか。
なんて健気に一生を終えたのだろう……いや、まだ“現役”だ
「デルタゴルフ」は、仏のトゥールーズの博物館に展示されている量産型1号機と共に、最終生産機までの量産型が商用飛行に向けて政府の承認を取ることができるよう、さまざまな試験に用いられていました。機内には、乗降ドアを開く際の注意が手書きで残されています。これを筆者は、量産初期の機体ゆえだと考えています。
後に「デルタゴルフ」は、イギリスで「コンコルド」を使用していたブリティッシュ・エアウェイズで乗員の訓練に用いられたほか、他の「コンコルド」の部品取りにも使われました。
こうした仲間への縁の下の力持ちとしての役割を果たし続けた結果、「デルタゴルフ」は1974年2月13日に初飛行したにも関わらず、1981年12月24日にラストフライトを迎えるという8年に満たない現役生活になりました。
現在、「デルタゴルフ」が展示されているブルックランズ博物館は元々「コンコルド」が生産されていた土地であり、その意味で「デルタゴルフ」は里帰りを果たした機体と言えます。機内は現在公開されて解説ツアーも企画され、毎日多くの見学者が超音速機体へじかに接しています。
見学者は、現代の大型旅客機と異なる細い胴体に在りし日の音速飛行へ思いをはせたり、丸型計器がたくさん並ぶ操縦室に時代を感じたりしています。こうした風景に思うのは、量産型2号機「デルタゴルフ」は今も“現役”なのだということです。
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