日本に“超接近”した中国海軍の空母「接続水域に入った!」…実は“問題ありませんけど?”な理由

2024年9月18日、中国海軍の空母「遼寧」を含む3隻の艦艇が日本近海を航行し、一時日本の接続水域に入域しました。この事態に、日本政府は中国政府に対して「深刻な懸念」を表明していますが、一方で国際法の観点から分析すると、また異なる側面が見えてきます。

接続水域航行は問題なし その理由とは

 今回の一件で、特に注目を集めているのが「接続水域」という言葉です。そもそも接続水域とは、沿岸国(今回の場合では日本)の領海に接続している水域のことで、領海などの幅を計測する際の基準線である基線から24海里(約44km)までの海域で設定することができます。

 接続水域において、沿岸国は「通関上、財政上、出入国管理上又は衛生上の法令の違反」を防止し、または処罰することができます(国連海洋法条約33条)。たとえば、パスポートを持たずに無許可で日本に上陸しようとする不法上陸や、海外からの密輸行為などについて対処することができます。

 しかし、裏を返せば、接続水域でそれ以外の問題が起こっても、沿岸国は何らかの権限を有しているわけではありません。つまり、他国の海軍艦艇が接続水域を航行するのを禁止するといったことはできないのです。

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海上保安庁が公開している領海等の模式図(画像:海上保安庁)。

 従って、今回の中国海軍による艦艇の航行に関して、少なくとも国際法の観点からは特に問題はありません。一方で、安全保障上の観点からは、中国軍による活動の活発化が大きな懸念事項であることは事実であり、今回の日本政府による「深刻な懸念の表明」は、そうした側面から発出されたものと考えられます。今回の一件に限らず、何らかの事案が発生した際には、それを多角的な視点から冷静に分析することが必要です。

【了】

【これが接続水域に入ったメンバーです】防衛省が公表した中国海軍の艦艇情報【画像】

Writer:

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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