ANA機のデザイン、なぜ半世紀近く不変? 他社にはない「激長寿塗装」採用の背景とは

実は「機体デザイン変えよう」案もあった?

 この「モヒカンデザイン」がどれほど印象強いものであったかを示すエピソードがあります。737就航から3年後に編まれたANAの20年史に記されたこの薄い青は、本来の名称である「セルリアンブルー」と紹介されています。しかし、ANAの公式サイトで現在用いている名称は「モヒカンブルー」です。それだけ、「モヒカンルック」の機体カラーは人々の記憶に残ったのです。

 そして現行の「トリトンブルー」になって42年。先代の「モヒカンブルー」をまとっていたのは13年間でしたが、トリトンブルーは3倍以上の年月を飛び続けています。とはいえ、機体カラーの刷新がまったく持ち上がらなかったのかといえば、そうでもないようです。

 実のところ筆者はもう15年近く前にANA関係者から、機体カラーも客室乗務員や地上スタッフの制服も合わせて変更する案があったと聞いたことがあります。

 そのANA関係者もあくまでも社内の噂レベルだったといっていましたが、案の後に米国発のリーマン・ショックにより景気が世界中で軒並み急激に後退し、費用がかかる変更はとてもできる状況ではありませんでした。それだけに、変更案があったか否かも含めて今も想像が膨らみます。

 シンプルゆえに流行に左右されず、垂直尾翼の「ANA」も大きく書かれているためすぐに会社名が分かるというのもメリットでしょう。このためか、1993年から2年間運航され、その後の各航空会社の特別塗装機の火付け役となった「マリンジャンボ」のデザインにおいても、垂直尾翼の「ANA」がかすむこともなかったと筆者は記憶しています。

 機体カラーは航空会社のイメージ刷新戦略に欠かせないだけに、トリトンブルーもいずれ変更はあるでしょう。その時がいつでどのようなデザインとなるのでしょうか。

【了】

【写真】今とぜんぜん違う!これが「昔のANA機」機体デザインです

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コメント

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1件のコメント

  1. 塗装の強度のメカニズムの話かと期待したのに