【日本の高速鉄道 その誕生と歴史】第7回「ビジネス特急『こだま』誕生」
長距離電車列車の躍進
「こだま」号に就役した20(151)系特急形電車は、前年に登場した90系通勤形電車(後の101系)を技術的な基礎として設計・開発が行われましたが、さらに様々な新技術が採用されました。
空気バネを使った台車を国内で初めて本格的に採用し、乗り心地の飛躍的な向上が図られました。この空気バネ台車の採用は、後に新幹線を現実化するための、ターニングポイントにもなりました。
また、先頭車両が大型のボンネットスタイルになったことが、外観上の大きな特長です。最高120km/hの高速走行に備え、運転士の視界を確保するためと、踏切事故などの際の安全確保を行うため、運転席を高い場所に上げたことがその理由です。併せて、それまで床下に設置されていた電動発電機と空気圧縮機をボンネット部分に収納することにより、客室内の騒音低減にもつながっています。
車両側面の窓をすべて固定式(乗客が自由に開け閉めできない形)として、全車両に冷房を完備したのもこの形式が初めてで、回転式のクロスシートを採用したことも含め、サービス面でも大幅な改良が見られました。
20(151)系は就役するやいなや好評を博し、登場から2年後には客車列車で運行されていた特急「つばめ」「はと」もこの形式に置き換えられました。
電車を使った東海道本線の特急列車は、その後も20(151)系の増備が続き増発されていきました。昭和34年(1959年)には、急行形電車153系の製造が開始され、客車列車で運行されていた準急・急行列車も続々と電車に置き換えられていきました。まさに、長距離電車列車の黄金時代の幕開けです。
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