広がる環境対策タイヤ バス用は乗用車とは異なる方法でも
環境対策について常に新たな技術を取り入れているバス。乗用車では「転がり抵抗」を減らした低燃費タイヤが普及していますが、バスはまた異なる方法でもタイヤでの環境対策を行っています。いったいどのような方法でしょうか。
タイヤと化石燃料の見落とされがちな関係性
バスの環境対策では、ハイブリッド車やCNG(天然ガス)を燃料とした車両の導入が目立ちます。燃料を節約したり、排気ガスをクリーンにすることで環境負荷を低減するものです。
しかし実は、バスが消費している化石燃料はこれだけではありません。間接的ではありますが、主原料が石油である「タイヤ」も化石燃料を消費していく消耗品です。
一般的な2軸のバスであれば、タイヤは前に片側1本ずつの2本、後はダブルタイヤなので片側2本ずつの4本。1台に合計6本のタイヤを履いています。仮に70両のバスが所属している営業所があったとすると、そこで使われるタイヤの本数は6×70の420本で、予備タイヤも必要ですから合計で450本以上ものタイヤを管理することになります。
しかしバスのタイヤは大型のため1本あたりの価格も高価で、これだけの数のタイヤが日々磨り減っていくことを考えると、年間のタイヤに掛かるコストは計り知れません。そのため近年、「再生タイヤ」がランニングコストの面でも環境対策の面でも注目されています。
新品で購入したタイヤを使用していると磨耗して、タイヤの接地面(トレッド面)にある溝が浅くなります。そしてスリップやパンクなどの危険性が高くなってくるころにタイヤの寿命(1次寿命)と判断されて、充分に溝のあるタイヤに交換されます。
「再生タイヤ」は、この1次寿命を迎えたタイヤを回収して再生させたものです。
1次寿命を迎え回収されたタイヤは「台タイヤ」と呼ばれ、その名のとおりタイヤ再生にあたっての「土台」となります。そしてその台タイヤへ新たにゴムをまき直し、摩耗してすり減ったゴムを復活させることで、タイヤを再生させるのです。
こうして造り出された再生タイヤは、接地面に巻き直されたゴムは新品になりますが、タイヤ側面(サイドウォール)はそのままです。その結果、新品のタイヤ1本を製造した場合と比較して、石油使用量は約68%の節約になるそうです。
ここに挙げた再生タイヤの製造方法は一例であるほか、再生タイヤはメーカーにより「更生タイヤ」「リトレッドタイヤ」と呼ぶこともあります。また乗用車ではタイヤの構造などから、こうした再生タイヤは一般的ではありません。
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