「ミドリムシ」で走るバス

バスの燃料で主に使用されている軽油。現在ではCNG(圧縮天然ガス)を燃料に用いるバスも走っていますが、なんと「ミドリムシ」を燃料とするバスが登場しました。いったいどのようなバスなのでしょうか。

「ミドリムシバス」が走っている場所は?

 小田急線と横浜市営地下鉄、相鉄線が乗り入れる湘南台駅(神奈川県藤沢市)。ここがミドリムシで動く「DeuSELバス」が発着する場所です。「DeuSEL」とは「DIESEL(ディーゼル)」とミドリムシを表す「euglena(ユーグレナ)」を組み合わせた造語で、いすゞ自動車株式会社と株式会社ユーグレナが共同で登録した商標とのことです。

 このバスは現在1台のみの運行で、いすゞ自動車藤沢工場関係者の送迎バスとして運行されています。車両はいすゞ自動車の中型バス「エルガミオ」を使っており、外観からは改造されているような部分はなく、走行音も一般的な路線バスと変わりありません。

 しかし現状では整備面で実証中の課題もあるようで、実用化の折には一般的な軽油と同じように扱えるようにしていくとのことです。

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ミドリムシをイメージさせるラッピングの「DeuSELバス」。

 通常エンジンで使用可能なミドリムシを用いたバイオディーゼルは、2018年の技術確立が目標とされており、2020年までに実用化する予定となっています。次の東京オリンピック開催時には、水素バスとともに活躍するミドリムシバスが見られるかもしれません。

 現在、技術的には100%バイオディーゼルでバスを動かすことも可能とのことですが、燃料に関する法律などにより、バイオディーゼルを軽油に添加しての使用となっています。法改正や生産量の維持、コストを抑えることができれば、実用化されているトウモロコシやサトウキビよりも、ミドリムシが代替燃料として広がりを見せていくかもしれません。

 価格の高騰や、限りある化石燃料にとらわれない燃料で運行することで、バス事業がさらに発展するといいですね。

【了】

Writer:

幼少期にバスの方向幕へ興味を持ってから、バス部品収集、乗りバス、撮りバスなどに明け暮れる。鉄道模型収集や、鉄道・バス車両の第二の車生めぐりを絡めた旧道探索も趣味。鉄道模型雑誌の編集部でバス企画の編集を経験して以降、記事執筆やバス貸切企画、座談会などを通してバス趣味の楽しさを共有する活動を行っている。

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