神保町の書店がなぜ「鉄道ファンの聖地」になったのか ネット書店台頭前から行われていた差別化

「専門性」で差別化することの苦労

 ただ「専門性を高める」という差別化には、苦労もあるそうです。書泉グランデの広瀬さんは「どんどん深みにはまっていくのでキリがないです」と笑いながら話します。専門性が強いものを探し求めていくと次第に集め尽くしてしまい、より深いところへ潜って「魚」を探しに行かねばならず、常に色々なところへアンテナを張っておく必要があるそうです。

 「ここへ行けば鉄道の本は大抵手に入る」という鉄道ファンの期待は、書店員にとってはプレッシャーなのかもしれません。広瀬さんは「『大抵手に入る』とおっしゃってくれるお客様のため常に努力している」といいます。

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JR中央本線を走るクリームと青の115系電車(2010年4月、恵 知仁撮影)。

 ちなみにそんな「鉄道の聖地」書泉グランデには、鉄道やバスなどに関する様々な一般書籍のほか、サボ(車両に掲示する行き先の書かれた板)や銚子電鉄「ぬれ煎餅」といった鉄道関係グッズ、大学鉄道研究会の会報なども置かれています。また自費出版本まで扱っているそうで、JR中央本線を走っていたクリーム色と青で塗られた115系電車の自費出版写真集など、なかなかに反応が高かったそうです。

【了】

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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