ライバルは欧州車 新型トヨタ「オーリス」試乗、その武器は
安全支援は最も効果が高い組み合わせ
内外装の改良もポイントのひとつ。トヨタのアイコンであるキーンルックデザインのフロントマスクはバンパーなどに手が加えられ、力強さがプラスされた印象です。プロポーションも、全長が55mm延長されたことで変化しています。
インテリアではグレードごとに差別化が実施され、それぞれのキャラクターがより鮮明になりました。例えばスポーツグレードの「180RS」ではそうしたスポーティさをより強調する専用の内装になっているほか、試乗した最上級グレードの「120T」では、木目調加飾や専用シートカラーの組み合わせで上質さを演出。そのキャビンは華やかでありつつ、ちょっと大人っぽい雰囲気になっており、幅広い層に受け入れられそうな印象でした。
「カローラ」に次いで、先進の安全運転支援機能「Toyota Safety Sense C」を搭載するのも話題のひとつ。自動ブレーキ機能を備え、衝突危険の警告とドライバーのブレーキアシストを行う「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS)」、車線逸脱を警告する「レーンディパーチャーアラート(LDA)」、他車や街路灯の存在に応じてハイビームとロービームを切り替え前方視界を確保する「オートマチックハイビーム(AHB)」をパッケージ化したものです。
トヨタによれば、この組み合わせが死傷事故低減に最も効果が高いといいます。「オーリス」の場合、1.2Lターボと1.8Lには標準装備されますが、1.5Lはオプションです。ただ価格は5万4000円と、少ない負担ですむよう配慮されています。
また、パッケージに含まれる「PCS」は10km/hから80km/hと広い速度域に対応しているのが特徴で、緊急時に作動する自動ブレーキでは約30km/hの減速が可能。実際にそれを体験しましたが、ブレーキが間に合うタイミングでまず警告され、そのまま減速せずにいると自動ブレーキがしっかりと反応。停車しました。しかし検出対象はあくまでクルマなので、過信は禁物です。
ダウンサイジングターボと充実の安全性能を備えて、新たに登場した「欧州で鍛えられたコンパクトハッチバック」の「オーリス」。欧州車の人気が根強い日本のコンパクトハッチ市場がどうなるのか、今後の展開が注目されます。
【了】
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
「オーリス120T」
安全運転支援機構が人物(自転車も含む)にも対応していたら、今スグにでも買い替えたいと思う。
前モデルオーリス150XSpackage74歳のオーナーです。
ハイブリットはあまり興味がわきません。