列車の中吊り広告、いったいいくら? その「ルール」とは
競合商品は隣接させない、ただし例外の業界も
ところで、一見、無造作に並べられているように見える中吊り広告ですが、実はルールが存在するようです。一番わかりやすいのは、「競合商品同士の中吊り広告を近くに配置しない」というもの。通常、中吊り広告はふたつ並べて掲載されますが、ライバル商品が並ぶことは基本的にありません。裏表でも競合商品の広告が掲載されないのは、クライアントからの要望や、各鉄道会社が広告主に配慮しているからです。ただし例外もあります。
それは出版業界です。例えば『週刊文春』と『週刊新潮』は隣合わせや近くに掲載されることがあります。
出版社に理由を聞いたところ「意図しているものではない、そもそも掲出位置を指定することもない」(新潮社広報宣伝部)とのことでした。隣り合わせになることが多いのも「かつて景気が良い頃はワイド(2枚並列)の中吊り広告が主流だったため、シングル(1枚)である週刊誌の広告は掲出場所が限られ、並列になることが多かったことの名残では」(同前)。はからずも競合誌と並ぶことで、相乗効果で読者の興味をさらに惹くという、良い結果を生んでいるのです。
もうひとつ注目したいのが、各鉄道会社ごとの表記ルールです。実は会社によって、それぞれ中吊り広告の掲載基準が違います。主にアダルト関連の文言に適用されるのですが、そのままでOKの路線もあれば、「●」などを使った伏字にすればOKの路線、違う単語にしなくては掲載NGという路線もあります。日々のなかでいくつかの路線を利用することがあるようでしたら、中吊り広告で「間違いさがし」をしてみてはいかがでしょうか。
【了】
残すべき鉄道文化の一つ