「宇宙行きの電車」宇宙エレベーター、現実へ一歩前進 ISSで実験開始

2050年の「宇宙エレベーター」完成を目指している大林組が、国際宇宙ステーション(ISS)でカーボンナノチューブの耐久性実験を開始しました。SFの世界でしかなかった宇宙エレベーターはいま、一歩ずつ現実へ近づいているようです。

状況を一変させた「カーボンナノチューブ」とは?

 2012年2月に地球と宇宙をつなぐ「宇宙エレベーター建設構想」を公表、2050年の完成を目指すことを明らかにした大林組。その現状や展望、また今回始まったカーボンナノチューブの耐久性実験について、同社宇宙エレベーター要素技術実証研究開発チーム幹事の石川洋二さんに話を聞きました。

――カーボンナノチューブ耐久性実験の内容、目的についてお教えください。

 宇宙環境にカーボンナノチューブ材料を1~2年間曝露し、その耐久性を確認します。実際に宇宙エレベーターでそれを使用する際は、紫外線や宇宙線などが飛び交う宇宙環境に何十年間もさらされるわけですが、カーボンナノチューブがそうした環境においてどのくらい実用に耐えられるのかはわかっておらず、今回の実験がその第一歩となります。

――そもそも「カーボンナノチューブ」とはどういった素材なのでしょうか?

 カーボン、すなわち炭素100%の素材です。「ナノ」とはとても小さい単位のことで、つまり「非常に小さいカーボンで作られたチューブ」ということになります。“引っ張りに耐えられる強さ”が特徴で、地上にあるもので最も強いと考えられており、鋼鉄の20倍程度の引っ張りに耐えられるとされています。また、その軽さも特徴です。

 吊り橋のワイヤーや海洋に浮かべる構造物をつなぐケーブルなどにも使えないかと考えていますが、価格がかなり高いため、建設用に使うにはまだハードルが高いですね。それにカーボン結晶の紐は、まだ長さ3cm程度しか作れないので、ケーブルとしての実用段階にはありません。今回の曝露実験では長さ2mmの繊維を寄り合わせ、10cmぐらいにして使っています。

――「カーボンナノチューブにより宇宙エレベーターが実現する」とされる理由はなんでしょうか?

 たとえば宇宙エレベーターのケーブルに鉄を使うとすると、引っ張りの強度が足りず、とてつもなく太くしないと耐えられません。なので、これまでの材料では非現実的でした。その状況を一変させたのがカーボンナノチューブの発明です。引っ張りにも強いことが分かり、現実的なレベルの太さで宇宙エレベーターのケーブルを作れる可能性が出てきたのです。

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