経験だよりはNG 21世紀の航空整備

JALに「マイスター制度」が導入されています。しかしその内容は、“職人”の世界とは遠いものでした。しかしこの形こそが“21世紀のマイスター”なのかもしれません。

職人の“カン”はダメ

「マイスター」という言葉には、“熟練職人”といったイメージがあるかもしれません。小学館『デジタル大辞泉』によると「マイスター(〈ドイツ〉Meister) 1 巨匠。名人。 2 ドイツで、徒弟制度による職人の最上位。親方。師匠」とあります。

 このたび、日本航空(JAL)の整備部門に導入されている「マイスター制度」を取材しました。「整備士」といえば、熟練の技術や経験が活きてきそうな職種。「マイスター」のイメージと通じる部分があるでしょう。しかし実際に話を聞くと、そうした熟練職人的なイメージとは大きく異なるものでした。

 

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数人しかいない「トップマイスター」の小久保吉純さん(2015年8月、恵 知仁撮影)

 JALの「マイスター制度」は若手への技量伝承を目的に設けられ、技量などに応じて「エキスパート」「マイスター」「トップマイスター」の3段階が存在。「トップ」は数名しかいないそうです。その「トップ」のひとりであるJALエンジニアリングの小久保吉純さんは、次のように話します。

「整備作業のなかに個人の経験がものをいう部分は、逆にあってはいけません。職人の“カン”で仕事をするのも良くありません」

「トップマイスター」の小久保さんは、むしろ経験による部分は減らすことが重要といいます。

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