経験だよりはNG 21世紀の航空整備
昔とは変わっている整備の現場
「トップマイスター」の小久保さんは、「情報共有」を最も大切にしているといいます。
「長く経験することによって分かってくるものはあります。ただ、本人だけが分かっていてはいけません」(小久保さん)
日本各地、そして世界に大勢存在している航空整備士。一定以上の品質を保つためには、個人の力に頼ってはいけないのです。
ただ昔は機体がアナログで、整備の現場には“感覚の世界”があったといいます。またIT化も進んでおらず、情報共有は紙に書いてファイリングするなどでした。しかし現在は機体に優れた「自己診断機能」が備えられ、「昔と比べ機械的な調整をする部分が減り、整備しやすくなっています」(小久保さん)とのこと。また情報共有もIT化で大きく変わりました。
「整備士は“職人の世界”“職人の技”というイメージがあるかもしれませんが、実際はデータに裏付けされた世界で、“親分子分”の世界でもありません」(小久保さん)
ちなみに小久保さんによると、特に1995(平成7)年に運用が開始されたボーイング777以降、自己診断機能などが進化し、より経験に頼らない整備が行えるようになったそうです。
また情報共有にあたって、職場の“風通し”を良くすることも大切でしょう。JALの整備現場は国内外各地への移動が多く、毎月1回、歓送迎会をやるほどといいます。小久保さんは普段はもちろん、そうした機会を利用してコミュニケーションをとったり、またコーチングのセミナーを受けるなどしているそうです。
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