狛犬の代わりにヘリ!? 日本ならでは「航空神社」戦争に翻弄され米軍に追い出された社まで
神社は日本全国に約8万8000社以上あるといわれており、それぞれ「八百万(やおよろず)の神」が祀られています。その多くは交通安全を祈願していますが、さらに細かく空の安全祈願や殉職者の慰霊を行っている神社もあります。
関西にはヘリコプターが鎮座する神社も
日本で初めて空飛んだ軍人にちなんだ神社が埼玉県にあります。
航空発祥の地、所沢に鎮座する航空神社
前出の北野天神社式内の航空神社と同じく、埼玉県所沢市にあるのが「所澤航空神社」です。こちらは所澤神明社の敷地内で、正式には鳥船神社(とりふねじんじゃ)といい、徳川大尉の初飛行から100年目を迎えたのを記念して、2011(平成23)年に創建されました。
由来は、1911(明治44)年、所沢に飛行場が造られ、徳川好敏大尉によるアンリ・ファルマン機での初飛行が行われた際、その前日に大尉が所澤神明社を参詣したと伝えられているからです。
狛犬の代わりにヘリコプターが鎮座する航空神社
最後は大阪に目を転じてみましょう。大阪府泉佐野市には、関西国際空港を建設する際に創建された「泉州航空神社」があります。ここは、正しくは泉州磐船神社といい、1983(昭和58)年に大阪府交野市の磐船神社から分霊され、航空安全と旅行安全を願って創建されました。
本殿には、狛犬の代わりに本田航空から寄贈された川崎ベル47G-2小型ヘリコプターの実機が展示されています。また、境内の地下には「航空博物館」があり、飛行機のプロペラや計器、装備品など航空機関連の資料約4000点が展示されています。ちなみに入場は無料です。
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日本神話には天界から神々が降臨する話があり、その際に乗っていた船「天磐船(あまのいわふね)」や「天鳥船(あめのとりふね)」に関する神々を、航空安全の御利益がある神様として祀っています。また航空事故の殉職者を合祀する神社も多くあります。
航空神社も、航空機という新しい技術と共に創建され、それに関わる人々の拠り所となりました。飛行機好き、航空ファンなら、一度これらの神社に足を運んでみてはいかがでしょうか。
※一部修正しました(12月29日13時55分)。
Writer: 石津祐介(ライター/写真家)
専門誌を中心に、航空機の取材、撮影を行うライター、写真家。国内外を問わず世界各地の空港やエアショーなど取材。航空機以外にも野鳥、アウトドア、旅行など幅広いジャンルの取材を行っている。
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