「シリアを失ったロシア」がとんでもなくヤバイ理由 海外の超重要拠点が消滅!? 待つのは“しっぺ返し”か“全てカネで解決”か

2024年12月8日、長年にわたったシリア内戦が終結しました。しかし、これによってロシアが外交的にも軍事的にも要衝とみなしていた軍事基地を喪失する危機に直面しています。

アサド政権崩壊で窮地に立たされたロシア

 中東の地政学地図が塗り替えられようとしています。長きに渡ったシリア内戦は、アサド政権の崩壊という劇的な結末を迎え、新たな政治体制の成立が確定的となりました。

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フメイミム空軍基地から飛び立つロシア空軍のSu-24戦闘爆撃機(画像:ロシア国防省)。

 この激震の影響を大きく受け、複雑な立場に立たされているのがロシアです。アサド政権を支えるために軍事介入を行った同国は、シリア国内に重要な拠点を築いてきました。その最大の場所が、シリア北西部、ラタキア県に位置するフメイミム空軍基地です。

 フメイミム空軍基地は、ロシアの中東における影響力拡大の象徴として機能してきました。しかし、アサド政権の崩壊は、この基地の存在意義を根底から揺るがし、ロシアの地政学戦略に大きな影を落としています。

 そもそも、ロシアがアサド政権を支援するためにシリア内戦に本格介入したのは2015(平成27)年です。そして、この軍事介入の最大の成果といえるものが、フメイミム空軍基地の獲得でした。

 この基地は、ロシア空軍によるシリア国内への空爆作戦の拠点として活用され、アサド政権の延命に大きく貢献しました。しかし、その過程で、ロシア空軍は反体制派地域への無差別爆撃を繰り返し、多くの民間人に犠牲を強いたことが明らかとなっています。この事実は、シリア国民のあいだに深い憎悪を刻み込み、今後のロシアとの関係に暗い影を落としたことは間違いないでしょう。

 フメイミム空軍基地の戦略的重要性は、シリア国内に留まりません。この基地は、ロシアがアフリカへ兵力を展開する際の中継拠点としても機能しました。近年、ロシアはアフリカ諸国との軍事・経済関係を強化しており、民間軍事会社を通じた軍事プレゼンスの拡大も各国は注目しています。フメイミム空軍基地は、前述した活動を支援するうえで不可欠な役割を担っていました。

 アサド政権の崩壊は、フメイミム空軍基地の法的根拠と存在意義を根本から問い直すことになるでしょう。同基地はアサド政権との合意に基づいて設置されているため、新政権とのあいだで改めて協定を結び直す必要に迫られることは間違いありません。

【ロシアにとっての重要拠点】ここがフメイミム空軍基地の位置です

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