後継船はもう造れない!? 日の丸潜水調査船ノウハウの結晶が消滅か… JAMSTECを直撃!

日本の技術の粋を集めて建造された有人潜水調査船「しんかい6500」。ただ竣工から35年近くが経過しており、支援母船「よこすか」とともに老朽化が進行し、後継を新造するのか否かの岐路に立っています。JAMSTEC担当者にハナシを聞きました。

支援母船「よこすか」にも世界初の技術が

 この「しんかい6500」を搭載し、ともに深海調査を担うのが深海潜水調査船支援母船「よこすか」(4439総トン)です。同船を建造したのは川崎重工業神戸工場で、1990年4月に竣工しました。同船には、音波で「しんかい6500」と音声通話が出来る水中通話機や、船上で「しんかい6500」などの整備を行える広さを持つ格納庫、そして空中重量26.7トンにもおよぶ船体を海に入れたり揚げたりすることが可能な巨大なA字型クレーンと着水揚収装置が設けられています。

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「しんかい6500」の支援母船である「よこすか」(柘植優介撮影)。

 加えて、もう一つ特徴的なシステムとして挙げられるのが、海中の『しんかい6500』から音波を使用して『よこすか』に画像を送る音響画像伝送装置でしょう。

 海上の船とケーブルでつながっているROV(遠隔操作型無人探査機)は、カメラの映像をリアルタイムでそのまま見ることができますが、活動範囲はどうしてもケーブルの制約を受けます。

 一方、HOVは、自在に動くことができるものの、母船とのやりとりは音声通信で結ばれているとはいえ、深海調査の状況をリアルタイムで共有することは困難です。その課題をクリアするため、JAMSTECは独自にHOVから母船に画像を送る技術を開発しました。

 当初は256×240ピクセルの画像を10秒ごとに1枚ずつ送るようなシステムでしたが、2018年度から運用を開始した新型機は同じ画素数の画像を2秒に1枚送れるようになり、これは世界でも類を見ないレベルです。

 桐生さんは「有人・無人論では、HOVの安全性を根拠にした無人派からの意見も見られるが、我々は35年間、大きな事故はただの1回も発生させていない。これは造船所や機器メーカー、そして運航を担っている日本海洋事業(株)のプロフェッショナルによるメンテナンスやオペレーションがあってこそで、調査能力や安全性・信頼性は世界トップクラスだと思っている」と胸を張ります。

 このように長年にわたって日本の深海探査を支えてきた「しんかい6500」と「よこすか」 ですが、両船の老朽化によって大深度HOVシステムが消滅する瀬戸際に立たされています。

【方向舵がX!】中国が保有する7000m級有人潜水調査船「蛟竜」です(写真)

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1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。

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