JR西日本の「異世界ローカル線」とは? “ド派手な国鉄形気動車”が大活躍 空港アクセスも担う!

鳥取県の米子駅から境港駅までを結ぶJR西日本のJR境線は、全国にあるローカル線の中でも特に個性が際立つ路線です。実際に乗車して確かめてみました。

駅のホームから既に「異世界」

 鳥取県の米子駅から境港駅までを結ぶJR西日本のJR境線は、全国にあるローカル線の中でも特に個性が際立つ路線です。「鬼太郎列車」が走ることで知られていますが、それだけではなく、あらゆる場所に「妖怪」が出現します。米子駅から「異世界」へ向かう路線へ実際に乗車してみました。

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境線の車両(乗りものニュース編集部撮影)

 境線はいまから123年前、1902年に開業した山陰地方では最古の路線。2023年度の輸送密度(1日あたりの平均通過人員)は2113人となっており、年々減少傾向にあるものの、特に利用者が少ないローカル線として位置づけられる2000人を何とか上回っている状態です。

 線路は美保湾と中海の間に位置する弓ヶ浜半島に敷かれており、延長は17.9km。全列車が線内で完結する運行形態で、おおむね1時間間隔(平日17往復、土休日15往復)で運行されています。米子~後藤間のみ、後藤総合車両所に電車が出入りする関係で電化されていますが、定期列車は全列車が気動車です。

 米子駅の境線のりば(0番線)には、「ゲゲゲの鬼太郎」に登場する妖怪「一反木綿(いったんもめん)」のモニュメントや、鬼太郎のブロンズ像、全国各地の妖怪を紹介する看板などがあり、列車に乗る前から「異世界」の雰囲気を感じることができます。「0(れい)」と「霊」をかけた「霊番線」に、「鬼太郎列車」が発着するのです。

 実はこのホームにはもう一つ、大きな見どころがあります。それは屋根を支える柱で、1870年にイギリスのダーリントンアイアンカンパニーで製造された「双頭レール」が使用されており、その位置を示す看板も設置されています。「双頭レール」とは上下が同じ型をしたレールで、上部が磨耗すればひっくり返して下部を使うことができます。ただ安定性に難があったため普及はせず、1902年の米子駅舎新築時の資材として転用され、現在に至ります。

 境港線の「鬼太郎列車」(初代)は1993年に運行を開始。現在は6種類あり、「ゲゲゲの鬼太郎」作者・水木しげる氏の出身地である境港の「水木しげるロード」がリニューアルされたことに伴い、2018年に車両デザインが一新されました。いずれも国鉄形気動車のキハ40系にラッピングが施されています。

 早速、車両一面に「目玉おやじ」が描かれているド派手な鬼太郎列車に乗車してみます。車内に入ると、座席や天井にまで妖怪の装飾が施されています。車内放送は鬼太郎や目玉おやじ、ねこ娘が案内する徹底ぶりで、観光客の評判は上々のようでした。

 車内は妖怪のほか、車載型IC改札機も目につきます。境線は2019年にJR西日本で初めて車載型IC改札機が導入された路線で、ICカード乗車券「ICOCA」で乗降する際は、車内に設置されたIC改札機にタッチする形となります。

【画像】車内も大変化!これがJR境線「鬼太郎列車」の座席です

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