ついに保有か「日の丸病院船」政府が考える2つの役割とは? 自衛隊での前例も
日本政府がついに「病院船」実現に向けたプロセスを具体化する模様です。民間の船会社に協力を仰ぎつつ、専用船を目指すとか。ただ、すでに防衛省/自衛隊で前例があります。運用はどのように考えているのでしょうか。
すでに能登半島地震で活用の前例あり!
「民間協力船」に乗船する医師や看護師といった医療従事者は、陸上の医療機能との連携の観点から、被災都道府県の「保健医療福祉調整本部」がDMAT(災害派遣医療チーム)、日本赤十字社などの各種保健医療活動チームと調整し、確保します。

ただ、民間協力船を活用した医療提供は新たな業務となるため、当面の間は政府が医療従事者の確保などについて、同本部を全面的に支援するとのこと。医薬品や医療資器材は、DMATなどが保有し、災害時に持参するもののほか、日本赤十字社が保有するdERU(国内型緊急対応ユニット)の医薬品・医療資器材を活用します。
船上で良好な通信環境が確保できるよう、衛星電話などの資器材については、政府が確保し保管することを明記。さらに船内という特殊な空間で医療を提供することとを考慮し、陸上の医療機関や救護所では使用されていない資器材を、「民間協力船」向けに新たに開発・確保することも必要であると記されています。
PFI船舶については、防衛省がフェリー「ナッチャンWorld」や「はくおう」で一定の実績を残しています。2024年1月に起きた能登半島地震では、「はくおう」が七尾港へ派遣され、船内に休養施設を開設し、被災者の受け入れを実施しています。
「はくおう」は元々、カーフェリーだったため、船内に宿泊施設や入浴施設、飲食施設などを備えています。それらを活用して被災者に癒しを与えたのです。こうした活動は、前述した「救護船」の内容に近いものだと言えるでしょう。
そのような前例がすでにあったからこそ、政府は「医療提供船舶」、いわゆる病院船の運用について具体的に動き出したと言えるのかもしれません。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
東南海地震の災害1時避難住居用として、自動車運搬船の改造イメージの船舶が取り敢えず4隻程度あれば、能登の悲劇の再発は回避できるのではないか?