北海道一周が困難 苦しむ日本船 北方領土問題、外国船優位の現状

日本のクルーズ船による北海道一周が難しい、といった奇妙な状況になっています。その主な理由は「北方領土問題」。コースによっては、釧路から網走まで7日間かけて移動することもあり、この問題は、海外勢と競っている日本のクルーズ船事業にも影響を与えています。

日本で、日本船を駆逐する外国船

 4年前から日本近海クルーズを行っているプリンセス・クルーズ(アメリカ)の「ダイヤモンド・プリンセス」(イギリス船籍)は、今年は5月から、そして来年は7月から合計5本づつ、毎月のように10泊程度の北海道・サハリンクルーズを実施。いわば“夏の人気定番クルーズ”になっており、日本人乗客も多数乗船しています。

 この「ダイヤモンド・プリンセス」のクルーズは、釧路を出たあと国後島と択捉島のあいだの国後水道を通過してサハリンへ向かっており、択捉島とウルップ島のあいだの択捉水道を通過しなければならない日本船に比べて、1日から2日の日程短縮が可能とされています。

 ただでさえ「日本船のクルーズ料金は高い」といわれている現在、領土問題そのものについては別にして、この「航路上のロス」が、日本船を東北海道航路から駆逐しつつあるのは現実です。

 クルーズ会社によると、最近でも「なぜ、オホーツク海から太平洋側に出られないの?」という問い合わせがあるようで、「丁寧に事情を説明しています」としていますが、本音では「航路決定に悩んでいる」のが実情のようです。

 最近、中国が南シナ海に造った人工島への「愛国者クルーズ」を国策で実施し、話題になっています。また今年中にロシアのプーチン大統領が来日するという話もありますが、東シナ海、南シナ海だけでなく日本の北側にも、いままさに領土問題が存在していることを、クルーズ事業は改めて教えてくれています。

【了】

Writer:

1949年生まれ。業界紙を経て1980年、海事プレス社へ入社。1989年、雑誌『CRUISE』創刊に参画し、翌年から編集長。2008年、海事プレス社の社長へ就任。2012年退任。この間、取材、プライベートを含め35隻の客船に乗船して延べ55カ国を訪問。地方自治体や業界団体主催の講演会などに多数出席。

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