ユニーク形状極めし「無人早期警戒機」なぜ? 摩訶不思議な位置にアンテナ…考えられる背景とは

早期警戒機といえば、レーダーアンテナを胴体上に円盤で載せたスタイルなどが昔は一般的でした。ところが現在は、ユニークな位置にアンテナをつけた無人機が出現。どんな背景があるのでしょうか。

「飛ぶ高度が関係?」担当者に聞いてみると

 実際に展示機体の模型を確認すると、MQ-9B 早期警戒機は、レーダーアンテナが早期警戒機としてはユニークな位置に設置されています。このような形に至った背景で考えうるものはあるのでしょうか。

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アメリカ空軍のE-3「セントリー」早期警戒管制機。胴体上部に設置された大型のレーダーアンテナが特徴(画像:アメリカ空軍)。

 この点について、パリ航空ショーでMQ-9B早期警戒機の模型を展示した、GA-ASIのブースにいた社員に理由を聞きました。

 その答えは「秘密。なぜと思う?」――。とはいえ、その社員は完全に回答をシャットアウトしたような雰囲気ではなく、含み笑いで会話を楽しむような様子に見えました。早朝の取材で来場者も少なく気持ちに余裕があったからでしょう。

「胴体上に構造物を設けて生じる空力変化を抑えたい」「補強に伴う胴体の重心位置の変化を避けたい」「操縦用電波の送受信とレーダー電波を干渉させたくない」など、筆者はこの理由をいくつか推定しました。その中から、「無人機は高々度を飛ぶからですか?」と尋ねると、「ジェット戦闘機の通常の飛行高度は数千mから1万mだからね。でも、これ以上は答えないよ。いずれ明らかにするからさ」とニヤリとされてしました。話はここで終わり正解を聞くことはできませんでした。

 ただ、MQ-9Bの飛行高度は1万2200m以上と戦闘機よりは幾分高く飛び、「確かにMQ-9Bは高々度を飛ぶからさ」と社員も答えていたことから、航空機を見下ろす飛行高度の差が主翼下を選んだ理由の一つになっているのかもしれません。同時に、社員の言葉のトーンには、活用が広がるMQ-9Bに自信を持っていると感じとることもできました。

 実際、GA-ASI はMQ-9B早期警戒機の主翼を換装した短距離離着陸(STOL)型も既に発表しています。こちらは空母に搭載できるため、英国海軍も興味を示しています。

 ちなみに、GA-ASIは公式Xで、海上自衛隊のいずも型護衛艦「かが」にMQ-9Bを載せたイメージ図も公開しています。小型空母となった「いずも」と「かが」が将来、MQ-9B早期警戒機を搭載するかは分かりませんが、同社にとって日本は「注目の売り込み先」であることに間違いなさそうです。

【写真】えっ…これが「ユニーク形状すぎる無人早期警戒機」全貌です

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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コメント

1件のコメント

  1. 『【写真】えっ…これが「ユニーク形状すぎる無人早期警戒機」全貌です』の4枚目の写真のキャプションが『パリ航空ショーのGA-ASI ブースに展示された「MQ-9B AEW」』となっているが、写っているのは「C919」などの旅客機のみと思われMQ-9BAEWは見当たらないが、掲載する写真を間違えたのでは???