「HIMARS」パクった!? トラック型ロケット弾発射機フランスが開発なぜ? 実は長い目で見た国防戦略でした

ロシアによるウクライナ侵攻で、注目を集めたアメリカ製兵器HIMARSのそっくりさんがフランスで行われたパリエアショーに新兵器として展示されていました。ただ、これは単なる「二番煎じ」というワケではなさそうです。

似たような兵器をわざわざ国産化する意義は?

 こうして見てみると、その特徴はアメリカのHIMARSとほぼ同じであり、そのため「フードル」はフランス版HIMARSといっても過言ではないでしょう。

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ルーマニアで実施されたNATO演習に参加したフランス陸軍のMLRS(画像:フランス軍事省)。

 そもそもHIMARSは、GPS誘導付きのロケット弾M31 GMLRS-U(射程約90km)や、弾道ミサイルのM57 ATACMS(射程約300km)が発射可能で、前線を越えて敵の内地に縦深打撃が可能な兵器です。前述したように、ウクライナ戦争で、同軍がロシア側に対して行った攻撃で目覚ましい戦果を挙げており、HIMARSの名前は一般報道でも見かけることが多くなりました。とうぜん「フードル」は、HIMARSと弾薬の互換性があります。

 となると、フランス軍もMLRSの後継を探しているのならHIMARSをそのまま導入すればよいのではないでしょうか。使用する弾薬も同じで、コンセプトも似通っていのであれば、わざわざ新しい兵器を自主開発するのではなく、実績あるHIMARSをそのまま導入すればいいようも思えます。

 しかし、2022年のウクライナ侵攻以降、兵器や弾薬生産のサプライチェーンの能力不足が露呈したことで、各国ともに自国の防衛産業を強化する方向に舵を切っています。

 フランスとしては、独自開発した「フードル」であれば、ランチャーシステムの国産化だけでなく、使用する弾薬の国産化にも繋がり、アメリカに頼らない兵器システムを手に入れることが可能です。

 コスト的にはデメリットもあるでしょうが、国家安全保障の観点では、決してマイナスではないと考えているようです。

 また、メーカーとしては、とうぜん海外輸出も考慮しているようです。アメリカ製のHIMARSを購入したい国は、アメリカの武器輸出管理法のもと、合衆国政府の許可が必須です。

「フードル」は、アメリカからHIMARSの調達が難しい国に対して販路を開拓できるという狙いもあるようです。そのため、仮にフランス本国が正式に採用すれば、同システムは次世代の火力打撃能力を担う装備としてだけでなく、フランス防衛産業の輸出力強化にも大きく貢献する存在になるのは間違いないでしょう。

【欧州車っぽい?】フランス製「フードル」ロケット弾発射機をイッキ見(写真)

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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