砲も「マルチ」な時代到来!欧州版ハイマース、対艦ミサイル発射に成功 さらに多彩な兵装搭載予定?

KNDSドイツは開発中の多連装ロケット砲システム「MARS 3(マーズ3)」のランチャーを使用し、ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンスが開発したNSM対艦ミサイルの地上発射に成功したと発表しました。

ロケット砲のランチャーで対艦ミサイル発射

 KNDSドイツは2025年7月2日、開発中の多連装ロケット砲システム「MARS 3(マーズ3)」のランチャーを使用し、ノルウェーのコングスベルグ・ディフェンスが開発したNSM対艦ミサイルの地上発射に成功したと発表しました。

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発射実験中の「MARS 3(マーズ3)」と運搬車両(画像:KNDSドイツ)

 MARS 3は、イスラエルのエルビット・システムズと共同で開発を進めている装輪式自走多連装ロケット砲システムで、アメリカの高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」のように、従来の砲兵システムと長距離巡航ミサイルシステムの間のギャップを埋める、長射程の阻止砲撃用兵器として設計されています。

 しかし、HIMARSと大きく異なる点は、対艦攻撃、精密地上攻撃、長距離打撃など多任務・多モジュール対応型を目指し、陸上および海上双方の打撃任務に対応可能な多領域ロケット砲システムとして開発されていることです。そのため、今回発射したNSMは海面すれすれを飛行するシースキミング能力を持つ長距離対艦ミサイルです。

 発射機は完全自律型で自動目標取得システムを備え、即応発射が可能です。また、撃ってすぐに移動する「シュート・アンド・スクート(shoot-and-scoot)」能力により、発射後迅速に再配置でき、変化する戦況下でも高い機動性を発揮します。

 さらに、MARS 3は車両や弾薬の種類に依存せず、多様なプラットフォームへの搭載と、さまざまな種類のロケットやミサイルの発射に対応する柔軟性を備えています。このため、HIMARSに依存することなく欧州独自の長距離射撃能力を確保できるほか、NSMをはじめとするNATO標準兵器を装備しているため、NATO共同作戦への参加も円滑に行えるという利点があります。

【画像】発射実験中の「MARS 3(マーズ3)」

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