「首都圏から一番近い離島」に “異色の新船”が就航! 船内には豪華な特別室も 「所要30分」の短い航路が大変貌

「首都圏から一番近い離島」とも言われる静岡県の初島に、既存船を大幅改装した異色の高速船が新規就航しました。

「不人気座席」も“川西デザイン”で生まれ変わる

 川西さんは「このプロジェクトは、熱海と初島の約30分の旅を生まれ変わらせようというところから始まりました。デザインは良い部分を伸ばし、課題を解決することに尽きます」と話します。関係者と共に初島航路に1日何往復も乗船して利用者の様子を観察したり、直接ヒアリングを実施したそうです。

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改装前には海が見えない「不人気席」となっていた1階中央の座席は、床を上げた半ボックス席にすることで海が見えるようになり、子連れでの利用にも対応できるスペースに生まれ変わった(乗りものニュース編集部撮影)

 改装前の船内は、1階窓側が4人掛け、中央が3人掛けで、地階はカーペット席だったそう。観光客が多い航路のため、従来は窓側から埋まっていき、中央の座席は人気がない状態だったといいます。夏の多客期には、座りたい乗客が炎天下の中、乗船口で長時間並ぶ事象も発生し、課題となっていたそうです。

 また、熱海発の便は海を見たがる乗客が多い一方で、初島発の便はスマートフォンを見たり寝ている乗客が多く、「行きと帰りで乗客の過ごし方が全く違う」ことが初島航路の特徴だと指摘します。

 川西さんは乗客の傾向や課題を踏まえ、「改装では船内の居場所の選択を増やし、様々な過ごし方を提供できるようにしました」と話します。

 船内には新たに売店が設置され、地元産のレモンビールやコーヒー、菓子などを購入できるようになりました。ほぼ全席にテーブルも設けられたので、売店で購入した飲食物を自席で楽しむ、といった過ごし方も可能に。不人気だった1階中央の座席は、床を上げた半ボックス席にすることで海が見えるようになり、家族連れでの利用にも対応できるスペースに生まれ変わりました。

 1階前方には特別室「金富士」が設置され、片道4000円の料金(貸切で8人まで利用可能)を払えば必ず座ることができる選択肢ができたのも利用者にとっては嬉しいポイント。地階にはUSBを確保したカウンター席がズラリと並びます。2階の遊歩デッキは、竹馬風ベンチがある公園のような空間です。3階デッキには人工芝生の広場まであり、ニーズに合わせて思い思いの時間を過ごすことができる仕掛けが満載となっています。

 船内をあちこち散策している間に、所要時間の30分があっという間に過ぎてしまうような「新船」に生まれ変わっています。

【画像】船内スゴッ!これが新高速船「金波銀波」の特別室です(既存船を大改装)

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