渋谷行き「500円座席」、何人乗ってた? 東急初の「上りQシート」実際に乗ってみた
東急の有料座席指定サービス「Qシート(Q SEAT)」が、新たに東横線の上り(渋谷行き)でも始まりました。どの程度利用されているのか、営業開始の2日目に実際に乗車してみました。
慌ただしい折り返し作業の東横線上り「Qシート」
筆者(柴田東吾:鉄道趣味ライター)は、営業開始2日目(7月23日)の東横線上りQシートに乗車しました。上りのQシートは6本設定されていますが、乗車したのは3本目の元町・中華街19時21分発「192号」です。
この列車は渋谷18時35分発「183号」の折り返しとして設定されています。渋谷発下りのQシートは、横浜高速鉄道みなとみらい線の横浜→元町・中華街間がフリー乗降区間として設定され、列車指定券なし(無料)で利用できます。
Qシートの車両は片側4か所ある扉のうちの3か所を幕で仕切り、渋谷方の1か所のみで乗降する方式を採用していますが、フリー乗降区間では仕切りを外し、すべての扉で乗降できるようにしています。
このため元町・中華街での折り返しでは、座席の向きを変える作業のほか、乗降する扉を1か所とするために仕切りを設置する作業も行われています。元町・中華街や渋谷での折り返し時間は3~4分程度。作業が終わってすぐに発車となるため、慌ただしいのが実態です。
元町・中華街から「192号」に乗車した人は、筆者を入れて2人だけでした。
Qシート以外の一般車両は、元町・中華街を発車した時点では空席が目立っていますが、2つ先の馬車道で席が埋まり、さらに1駅先のみなとみらいでは立ち客で混雑するようになります。しかし、Qシートの車両はガラガラのまま。横浜からは3人が乗車してQシートの乗客は5人になりました。
この先、終点の渋谷までQシートの乗客は増えず、途中の自由が丘と学芸大学で1人ずつ降り、渋谷まで利用した乗客は3人だけでした。筆者を除くと、乗客はサラリーマンの身なりをした人ばかりで、渋谷発の下りQシートとともに、勤め帰りと思しき利用が目立っていました。
筆者が乗った上り「192号」は渋谷に到着した後、折り返しQシートを設定した下り「201号」になります。乗客が降りた後は座席の回転などが行われ、Qシート車両へ十数人の乗客を乗せて再び元町・中華街に向かって発車していきました。
夜のみなとみらい線・東横線は、上り渋谷方面に向かう列車でも混雑が目立ち、途中の横浜から着席できる機会は稀です。Qシートが設定されたことで、有料ながら横浜から着席する機会ができましたが、500円を払って多くの乗客に利用されるまでには時間がかかりそうです。
Writer: 柴田東吾(鉄道趣味ライター)
1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR線の2度目の「乗りつぶし」に挑戦するも、九州南部を残して頓挫、飛行機の趣味は某ハイジャック事件からコクピットへの入室ができなくなり、挫折。現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。鉄道雑誌への寄稿多数。資格は大型二種免許を取るも、一度もバスで路上を走った経験なし。
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