「乗り通す人いるの?」200キロ超の長距離“普通列車”が今なお消えない理由 昔は“とんでもなく長い”列車も
青春18きっぷで挑戦したくなるような長距離の普通列車は、数を減らしながらも脈々と生き続けています。200kmを超えるようなロングランを行う意義は何でしょうか。実はSLの時代から“栄枯盛衰”がありました。
青春18きっぷの友「長距離普通列車」はなぜ存在?
「青春18きっぷ」の大きな制度変更が話題ですが、このきっぷで乗れるのは特急や新幹線以外の快速を含む「普通列車」です。首都圏では高崎発熱海行きなど、湘南新宿ラインや上野東京ラインで200kmを超える長距離普通列車が多数運行され、グリーン車まで連結されています。関西でも兵庫県の西部から福井県の敦賀までを結ぶ長距離の新快速もあります。
忙しい現代では新幹線や特急で先を急ぐ人が大多数と思われるのに、なぜこのような長距離普通列車が設定されるのでしょうか。その背景を探ってみます。
日本の鉄道の創成期は列車も少なく、種別も分かれていなかったので、長距離であっても昼夜走り続ける普通列車が設定されていました。これが次第に大衆化して、通勤・通学にも鉄道が使われるようになり、列車種別の分化が進み優等列車が設定されていきました。当時は蒸気機関車が客車を牽く、のんびりとした時代であったこともありますが、鉄道移動が主流でしたので、多少不便な時間帯であっても多くの乗客が利用していました。
また、当時は高価な機関車の数を増やせないため、輸送を集約して、機関車1両に多数の客車を繋げる列車が大半でした。ただ、この形態の運行は次のような“条件”がつきます。
・蒸気機関車牽引列車の折り返しは、機関車を列車の反対側に繋ぎ変える機回しが必要になり、設備や人員が必要で事故のリスクも増える。
・列車の系統(運行区間)を分割して乗り継ぎにするには、客車の数が多いので、駅の待合スペースも大きなものを建設する必要がある。
一方で、通勤・通学は朝夕に集中します。本来であれば、地域輸送ならそこだけ走る列車を設定しますが、上記の事情があるので、A地域で朝の通勤通学客を運び、そのまま方向を変えずにB地域まで走らせて、今度はB地域の夕方通勤通学客を運ぶ、といった複数の需要を繋ぎ合わせる普通列車が登場しました。
この場合、A地域からB地域までは回送同然ですが、どうせ走らせるならそのまま普通列車として運行してしまうのです。かつて“最長距離鈍行”として有名だった列車も、こうした性質のものでした。
最長の普通列車は、東京~門司の1123.9キロですよ。
東海道線111・112列車
111列車は東京駅を14時30分に出発、
終点の門司駅には翌日の22時01分に到着。
所要時間31時間31分。
1956~61年に運転されてました。