米軍の未来を切り拓くか?「奇妙な最新ステルス艇」太平洋で長期試験へ! 知られざるメリットも
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は2025年9月5日、完全自律型の無人水上艇USX-1「デファイアント」の長期海上試験を太平洋で開始したと発表しました。
人乗せないとメリット沢山!
アメリカ国防高等研究計画局(DARPA)は2025年9月5日、完全自律型の無人水上艇USX-1「デファイアント」の長期海上試験を太平洋で開始したと発表しました。

この無人艇は、防衛関連企業であるSerco(サーコ)が建造を担当しており、人が乗艦して操船することを前提としない設計としては、アメリカ海軍史上初の試みとなります。
「デファイアント」の船体サイズは全長55m、高さ12.8m、排水量約240トン。ペイロード(積載量)は60tで、最大速度は20ノット(約37km/h)を発揮します。
迅速な生産と整備を可能にするため、船体構造は極力簡素化されており、この規模の船体サイズであるため、港湾にあるメンテナンス施設や、ヨットやタグボートの整備を行う中規模造船所でも対応できるといいます。なお、艇の規模としては、海上自衛隊のはやぶさ型ミサイル艇に近いサイズと推定されます。
また、人員の搭乗を完全に排除した構造により、小型化・低コスト化だけでなく信頼性にも優れ、さらに流体力学的な効率も追及できるようになるとのこと。加えて、ステルス性も最大限考慮した設計にすることができるため、任務遂行能力を高めるうえでもメリットがあり、複数の利点が期待されています。
運用は外洋を前提としており、航行試験では、強風や高波といった過酷な環境下でも性能を維持して航行可能であることが確認されています。製造元はさらに、それ以上の過酷な条件にも耐える設計であると説明しています。
「デファイアント」は1か月ほど前の8月11日に進水式と命名式を迎えており、そこで、DARPAのスティーブン・ウィンチェル局長は「デファイアントは、コスト効率に優れ、生存性が高く、製造・整備も容易で、長距離航行が可能な自律分散型プラットフォームです。これにより、将来的な海軍の攻撃力、センサー能力、兵站能力の向上が期待されます。有人艦を保護・補完し、低コストで戦力を倍増させるとともに、アメリカの新たな海洋産業能力を引き出す存在になるでしょう」と、その先進性をアピールしています。
ディファイアントは太平洋での長期試験で、耐久性や信頼性の検証が行われる予定です。その結果、実用化へと移行した場合、アメリカ海軍にとって初となる完全自律型中型無人水上艇(MUSV:Medium Unmanned Surface Vessel)が誕生する見込みです。
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