成田空港の将来像、必ずしも「ターミナル1つ」とは限らず…? 「第2の開港」の先に予想されうるものとは
成田空港では現在3か所ある旅客ターミナルビルを1つにまとめる「ワンターミナル」化の取り組みを進めています。筆者は、ワンターミナル化後も再び旅客ターミナルビルが複数に増える可能性は拭いきれないと分析しています。
「ワンターミナル」化後→再度複数化の可能性も…?
成田空港では「機能強化」に向けた取り組みを進めており、ここでは2025年現在の空港の姿とは大きく異なる将来像が打ち出されています。主要なものとしては2029年をめどにB滑走路の延伸とC滑走路の増設、そして現在3か所ある旅客ターミナルビルを1つにまとめる「ワンターミナル」化です。

とはいえ公表された機能強化の資料を見ると、筆者は、ワンターミナル化後も再び旅客ターミナルビルが複数に増える可能性は拭いきれないと分析しています。
1978年開港時の成田空港は第1旅客ターミナルビルだけでしたが、現在は3つの旅客ターミナルビルがあります。ビル間はシャトルバスで結ばれているものの、旅客機の乗り継ぎはビルを集約した方が利便性は高まるうえ、これらのターミナル自体も長いこと使われてきました。これらを考慮し「ワンターミナル」の構想が浮かんだわけです。
しかし、公表されている機能強化の資料を見ると、ワンターミナル予定地の北側、現在の第2・第3ターミナルの場所にそのまま上書きされるように“T2(第2ターミナル)”、“T3(第3ターミナル)”の文字がそれぞれ記され、そのエリアは「ワンターミナル供用後のあり方は今後検討」「将来的にはターミナル拡張エリアを想定 オープンスポットのみの使用も想定」と説明されています。
つまり資料の読み方によっては、第2、3旅客ターミナルビルが再び建設されるかもしれず、こうなると、ワンターミナルはつかの間の構想とも映ってしまいます。加え、成田空港を将来も使い続け、「ワンターミナル」後の需要が現状の想定をさらに上回った場合、再び複数の旅客ターミナルビルの体制とする案も十分検討の余地があるといえるでしょう。それではもうした方針に舵切りされた場合、「ワンターミナル」という言葉は、いずれは“死語”になるのでしょうか。
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