「造船やめます」のはずが? 追浜の造船所が一転して存続のナゼ 「船として受注したのではない」って!? 住重
新造船建造からの撤退を決めていた住友重機械工業が、今治造船からタンカーの建造を受注しました。新造船ヤードとしての役目を終えるはずだった横須賀・追浜の造船所が存続します。なぜ事態は変わったのでしょうか。
2028年までは稼働確定!
住重グループが横須賀造船所で船体を建造するのは、今治造船と日本シップヤード(NSY)が丸紅の協力を得てギリシャ船主から受注したアフラマックスタンカー2隻です。1隻目は2027年、2隻目は2028年の竣工を予定しています。同契約は2025年9月26日に公表され、今治造船にとっては2008年にアフラマックスタンカーを引き渡して以来の受注です。

これにより、横須賀造船所では2028年まで新造船の船体建造が行われる見込みです。アフラマックスタンカーは需要があり、今後の動き次第では、受注したタンカー以外の船体建造を手掛けるかもしれません。
ただ、住重は今回の件について、造船撤退の方針は変えず、「大型の鉄鋼構造物という位置づけで今治造船から受注した」と話していました。あくまでも鉄鋼構造物として製造するのであって、新造船事業の再開ではないということです。
住重は今年、三井海洋開発(MODEC)との間でFPSO(浮体式石油生産・貯蔵・積み出し設備)の前側の建造契約を結んでおり、今回のアフラマックスタンカーと合わせて大規模な船体の製造が続きます。
なお、今治造船は一連の動きについて否定はしなかったものの、「コメントは差し控えさせていただきます」としました。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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