なぜ少ない?「緑ナンバー」のダンプカー 白ナンバーで運んでいる荷物とは?

クルマには自家用を示す「白ナンバー」と、営業用を示す「緑ナンバー」があります。しかし、他のトラックなどと違って、ダンプカーでは白ナンバー車の比率が多いように感じられます。そこにはダンプカーならではの事情がありました。

白ナンバーでもOKな「3つの理由」

 では、実際に公道を走っているダンプカーは、どういった枠組みで土砂などを運んでいるのでしょうか。

Large 20251023 01

拡大画像

「○営」ゼッケンの緑ナンバーダンプカー。運送事業者なので、他者の土砂を適法に運搬できる(植村祐介撮影)

 まずひとつ目は、自社の荷物として運んでいる場合です。砂利を販売する事業者である「○販」、砂利や石を採掘する事業者である「○砂」「○石」は、当然ながら自社の荷物として土砂を運ぶことに合理性があります。

 また一部のダンプカーは「事業者が荷物を運んで運賃をもらっているわけではなく、積み込む現場で土砂を購入し、積み卸す現場で土砂を販売している」という形態をとっていることもあるようです。この場合、運送事業者としての利益を得ていないので、白ナンバーでの土砂運搬が可能という見方があります。

 そして最後に、「ダンプ持ち労働者」と呼ばれる、個人所有の白ナンバーダンプの場合です。

 たとえば個人事業主として仕事する大工さんは、金づちやのこぎりを自分で所有し、仕事に使います。ときには建設会社から雇われ、労働者として働く場合もありますが、このときも当然のように自分の道具を使います。

 つまり個人でダンプカーを所有しているドライバーが同様に建設会社から雇われ、労働者として働く場合についても、自分のダンプカーを大工さんの金づちやのこぎりのように仕事の現場に持ち込み、使うケースについては、白ナンバーで他人の荷物を運んだとしても違法ではないという考え方があるのです。

 ただこうした「現場で土砂を購入、別の現場で販売する」「個人の持ち物としてダンプカーを使う」という考え方については、「他社の荷物を運ぶ場合は緑ナンバーが原則」という立場から、違法ではないかと指摘する意見もあります。

 しかし実際に多くの白ナンバーのダンプがさまざまな工事現場で活動しています。もし白ナンバーのダンプカーを工事現場から一律に排除してしまうと、工事がスムーズに進まなくなる可能性もあるでしょう。

 また、これについては一部の労働組合が、2026年4月に施行される「トラック新法」で「違法な白トラ利用の禁止」が謳われていることを念頭に、「自家用ダンプの使用は適法であることの周知」を元請けや荷主に周知するよう国土交通省に求めています。

 もちろん、自社の荷物を運搬する以外のすべてのダンプカーが緑ナンバーを取得すれば、こうした問題は解決に向かうことになります。

 しかし、緑ナンバーの取得には、運行管理者資格証を持っている役員または従業員がいること、トラックが5台用意できること、営業所と車両全台を駐車できる車庫を確保できることなどの条件に加え、運行にあたっても毎日の点呼、日報の記録など、白ナンバーにはないさまざまな義務が課せられます。

 これらは零細事業者にとっては厳しいハードルとなることから、多くのダンプが緑ナンバーに転換するのは難しいと言えそうです。

【写真】これが現場で活躍する「白ナンバー」のダンプです!

Writer:

1966年、福岡県生まれ。自動車専門誌編集部勤務を経て独立。クルマ、PC、マリン&ウインタースポーツ、国内外の旅行など多彩な趣味を通し積み重ねた経験と人脈、知的探究心がセールスポイント。カーライフ系、ニュース&エンタメ系、インタビュー記事執筆のほか、主にIT&通信分野でのB2Bウェブサイトの企画立案、制作、原稿執筆なども手がける。

最新記事

コメント