東京の「時が止まったままの橋」ついに撤去開始 34年前の姿で「地図から消された」いったいなぜ?

2025年11月、臨海副都心エリアで「青海橋」の撤去工事が始まります。一般道としては極めて短い間しか使われず、長らく放置されてきたこの橋は、何のために造られたのでしょうか。

一般道だったのはわずか3年

 東京の臨海副都心エリアに、運河をまたぐ立派な「廃橋」があるのをご存じでしょうか。この撤去工事が2025年11月から始まります。一般道としては極めて短い間しか使われず、廃止後は長らく放置されていた橋です。

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撤去工事が始まる青海橋(乗りものニュース編集部撮影)

 この橋は、りんかい線東京テレポート駅のすぐ東側にある「青海橋」です。1987年に建設されました。北側の有明橋(国道357号西行き)、南側の夢の大橋(歩道橋)とともに、有明西運河で隔てられた青海地区と有明地区を結んでいますが、2025年現在は、両端に道路はなく、橋自体は柵で閉鎖されて通行できません。

 その一方、舗装された橋の上には車道の上下線を分ける道路鋲や、歩道の縁石、街路灯などがそのまま残存しています。

 もともと、青海橋は一般道として整備されたものではありませんでした。この橋は当時本格化していた、臨海副都心エリアの開発を進めるために造られたものであり、当初は主に工事用の建設車両が通行していました。

 その後、青海橋は1991年に一般道へと転換しましたが、供用から間もなくして、周辺エリアで「世界都市博覧会」を開催することが決定。1996年のイベント開催にあわせ、青海橋を会場内のアクセス道へと転用する案が浮上し、1994年には早くも一般道としての役割を終了しました。

 ところが、世界都市博覧会はバブル崩壊の影響もあり、開催を目前にして中止になりました。これに伴い臨海副都心の開発計画も大きく見直されましたが、すでに南側に並行して、より広い「ゆりかもめ」の高架下道路(青海有明南連絡線)が開通していたこともあり、青海橋の一般道復帰は見送りに。

 1996年には、道路が接続していた有明西運河の両岸が再整備され、水の広場公園が完成しました。一方、青海橋自体は撤去費用が高額なこともあり、しばらくは歩道として活用されましたが、2016年に施設の老朽化や「東京2020オリンピック」開催に向けた関連工事のため、ついに閉鎖となりました。

 バブル絶頂期の前夜に生まれた青海橋は、1990年代以降は日本経済や臨海副都心エリアの隆盛に翻弄され続けた存在ともいえます。撤去工事は、まず2025年11月~2026年10月までの工期で上部工を解体、以降も順次作業を進めていく見通しです。

【写真で見る】これがお台場近隣にポツンと残る「廃橋」です

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