「最後の16km」で工事難航! 福井‐岐阜を結ぶ「中部縦貫道」開通いつ? 現道の通行止めも悪影響
福井~岐阜を結ぶ中部縦貫道の最後の未開通区間「大野油坂道路」の工事が難航しています。
工事難航の「大野油坂道路」
福井~岐阜を結ぶ中部縦貫道の未開通区間で建設工事が難航しています。
 
                
                  
                2025年10月28日、福井県内で第12回中部縦貫自動車道事業費等監理会議が開かれました。この会議は、事業費などを適正に監理することを目的に、国土交通省近畿地方整備局と福井県が連携し、事業の進み具合や今後の見通し、事業費などについて情報共有を図るためのものです。
今回は、中部縦貫道のうち、工事が続く大野油坂道路(九頭竜・油坂区間)の進捗などが話し合われました。
中部縦貫道は現在、福井県と岐阜県にまたがる北陸道~東海北陸道間約73kmのうち、大野油坂道路の九頭竜IC~油坂間15.5kmが建設中です。この区間は当初、「2026年春」に開通する予定でしたが、工事が難航して計画がいったん白紙になっていました。
計画白紙となった主要因が、九頭竜湖畔に架かる新子馬巣谷橋(しんしばすだにばし、仮称)です。
この橋は、大きな地滑り面の存在や、橋脚を支える基礎部分が沈下しない一方で完成済みの橋台は沈下するといった課題が発生していました。2025年1月に対策工法を決定し、現在はその対策工事を進めています。
このほか、想定以上の湧水などに悩まされていた大谷トンネル(全長2853m)は、当初の計画から約5か月遅れて3月20日に貫通。10月下旬にはすべての覆工コンクリートの施工が完了し、今後は設備や舗装工事などに着手する予定です。
新下半原トンネルは、大雪の影響で3か月ほど遅れてトンネル工事に着手しましたが、事前の追加ボーリングで蛇紋岩の層を確認しているといいます。蛇紋岩はもろくて崩れやすいため、今後、対策を進めながら慎重に掘削をしていくことになります。
なお、大野油坂道路と並走する国道158号(現道)では大規模な斜面崩落が発生し、3月から7月にかけて通行止めが続きました。これにより施工計画の見直しが余儀なくされたほか、工事の遅れも発生しています。
事業費も増えています。九頭竜IC~油坂間の全体事業費は2023年時点で約1509億円でしたが、今回の見直しで3割増の約1959億円に膨らむといいます。
増加した450億円のうち、新子馬巣谷橋の対策が約343億円で大半を占めますが、ほかに物価上昇による資機材費や労務費の増加、国道の斜面崩落による影響なども増加要因として挙げられています。
白紙となっていた開通時期は、2025年3月の前回会議で「2029年春」と示されました。これは「工事が順調に進んだ場合」という条件付きですが、半年程度の前倒し開通も目指すとしています。近畿地整は今後も、コスト削減に務めながら事業を進めていく方針です。
 
                
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