台風観測、なぜあえて飛行機で? 計画主導者とパイロットに聞く、理由やリスクとそのリアル

かつて米軍によって行われていた、日本における飛行機での台風観測が改めて始まります。気象衛星もあるこの時代に、なぜ再びリスキーとも思えることを始めるのでしょうか。計画主導者とそのパイロットに話を聞きました。

パラオでは「なにもなかった」

 北原さんに、今回の実験計画について聞いてみたところ、意外な答えが返ってきました。

「以前、南太平洋上の島国、パラオで、台風のタマゴを探し計測するという飛行を行った際、台風に接近したことがあります。フィクションであるような、機体が雲に吸い込まれたりするようなことがあるのかと思っていたのですが、実際にはそういったことが何もなくて、かえって面白くなかったという記憶があります(笑)」

 現実は、面白いことは何もなかった――しかしそれがまた、我々にとって興味深く面白い事実であるといえるのではないでしょうか。

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台風観測計画に使用され、北原さんが機長を務めるDAS社の「ガルフストリームII」は、ガルフストリーム社(アメリカ)製(写真出典:DAS)。

 最後に、坪木教授は以下のように語ります。

「得られたデータを台風の予報モデルに与えることで、進路や強度のより正確な予報を目指します。台風について、直接観測と数値モデルを組み合わせる、世界最先端の研究を行いたいと考えています。またこの航空機観測は、将来の台風の現業的観測につながる第1歩と考えています。地球温暖化が進むなか台風がどう変わっていくのかを、観測から明らかにするための正確なデータが蓄積されていくことを期待しています。そのためにも長期的な航空機による観測が不可欠であり、この研究はその第1歩です」

 彼ら日本の「タイフーンハンター」の活躍は、自然災害における直接的な救助活動とは異なり、ほとんど目に触れることはないかもしれません。しかし「タイフーンハンター」によって得られた観測データが将来の台風予報に反映されることによって、「災害のデパートメントストア」である日本に生きる我々が危険にさらされることを未然に防ぎ、結果的に多くの尊い命を救うことにつながるであろうことを考えるならば、この興味深い研究が持つ意義は、計り知れないほど大きいといえるでしょう。

【了】

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