リニアはどれくらい「速く」「安く」乗れるのか? 開業による“副産物”とは?
リニア中央新幹線を現時点での見通しで分析した場合、実際にリニアと新幹線ではどちらのほうが便利でお得なのでしょうか。
むしろリニア開業で「新幹線」が便利になる?
では、リニアが開業すると、私たちの鉄道利用のスタイルはどう変わるのでしょうか。
現在、東海道新幹線は輸送能力の限界に近い過密ダイヤで運行されています。特に東京~新大阪間を結ぶ「のぞみ」が最優先され、途中駅に停車する「ひかり」「こだま」の利便性には、制約があるのが現状です。
しかしリニアが開業すれば、新幹線への需要の一部がそちらへと転換するため、新幹線の線路やダイヤに余裕が生まれます。
国土交通省の試算によると、東京~名古屋・大阪間での新幹線へのニーズは、リニア開業後に約3割減少する見込み。実現すれば、これまで満足な本数を走らせられなかった「ひかり」「こだま」の増発が可能になり、特に静岡県内の駅をはじめ、リニアが停車しない地域での利便性の向上が期待できます。リニア開業の恩恵は、より速い列車が誕生することだけではないのです。
リニアと新幹線については、単純に「どちらが安くて便利なのか」と比較するより、「リニア開業によってどんな恩恵があるのか」という観点で見ていく必要があると考えます。高速鉄道の未来は「リニア一択」ではなく、目的や価値観に応じ、両者をかしこく使い分ける時代がやってくるでしょう。





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