船の「ナンバープレート」は一生モノ!? 日本独自の“船の戸籍”とは なぜ日本の船には「丸」がつくのか?
船においても、自動車のナンバープレートのように個体を識別するため、船名や番号は登録しなければなりません。また日本にも独自の制度が存在します。これらはどのような仕組みになっているのでしょうか。
日本の「戸籍」制度と船名の「丸」
世界共通のIMO番号とは別に、日本は独自の船舶管理制度を持っています。特に総トン数20トン以上の日本の船については、「船舶法」に基づき、まさに人間の戸籍に例えられる管理が行われています。
日本の制度が特徴的なのは、「登記」と「登録」という二段階の手続きが必要な点です。まず、船の所有者は日本国内に「船籍港」(本籍地のようなもの)を定め、その船籍港を管轄する法務局で「登記」を行います。
これは不動産登記のように、船の所有権や抵当権といった「財産権」を公示するための手続きです。
この登記を終えた後、船籍港を管轄する地方運輸局などの「管海官庁」で「登録」の手続きをします。こちらは船に日本国籍を与え、航行を許可するための「行政上の手続き」です。
この登録により、船の経歴がすべて記録される「船舶原簿」(戸籍簿にあたる)が作成され、日本国籍を証明する「船舶国籍証書」が交付されます。
一方で、総トン数20トン未満の小型船舶(プレジャーボートなど)は手続きが異なります。こちらは「小型船舶の登録等に関する法律」に基づき、日本小型船舶検査機構(JCI)が一元的に登録と検査を行います。
登録されると「船舶番号」(船籍港が所在する都道府県名+数字)が与えられ、JCIが交付するステッカー(船舶検査済票)と都道府県名の表示により船舶番号を示します。
船には、番号だけでなく「船名」の表示も義務付けられています。総トン数20トン以上の船舶は船首両舷と船尾に船名を表示する必要があり、20トン未満の小型船舶でも国際航海に従事する場合は船名表示が義務付けられています。
船名は基本的に所有者が自由に付けられますが、使える記号はハイフンやピリオドなどに限られます。船舶法施行細則により、船首両舷の外部に船名、船尾外部の見やすい場所に船名および船籍港名を表示することが定められています。
日本の船名で特徴的なのが、「氷川丸」や「日本丸」のような末尾に「丸」をつける慣習です。その起源は定かではありませんが、大切なものへの愛称だった説、航海の安全や完全を願う説、船を城に見立てた説などがあります。
このように船の識別は、生涯不変の国際的なIMO番号と、各国の法律に基づく登録制度、そして船名という複数の要素で成り立っています。これらが組み合わさることで、世界の海を航行する船の秩序と安全が保たれているのです。





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