名古屋に「無重力」あります 飛行機で作る非日常空間、パイロットに聞くその仕組み

人類が有人宇宙飛行に成功し約半世紀。宇宙旅行はいまだ高嶺の花ですが、宇宙空間と同じ「無重力状態」の実験であれば、現実的な価格で可能です。そんな飛行実験を提供している日本の会社のパイロットに、「無重力飛行」の実際を聞きました。

「無重力」という未知の世界、1回約20秒

 無重力状態は、飛行機を使って生み出します。その方法はいたってシンプル。まず飛行機が水平飛行から急上昇しようとする動きを想像してみてください。パイロットが操縦桿を手前に強く引っ張ると、機体は急速に機首上げ方向へ動き、上向きの飛行姿勢になります。このとき飛行機は、遠心力によって足元(下向き)へむけて数G(重力加速度)、すなわち地球の重力の数倍もの重力が発生します。これを逆にやればいいのです。

 つまり機体を急降下させるように、操縦桿を奥へ強く押し倒し、機首下げを行うと上向きの重力が発生するので、地球の重力と吊り合うように調整すれば、機体は「0G」、すなわち無重力となります。

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無重力状態を飛行機内に作り出す、放物線飛行(パラボリックフライト)の飛行パターン(画像出典:DAS)。

 DAS社では「ガルフストリームII」または「MU-300」というビジネスジェットを使ってこれを行いますが、同社のパイロットである北原龍一機長によると、その操縦は非常に難しいといいます。

「まず降下し、速度およそ1000km/hまで加速します。そして1.8Gから2.0Gの機首上げを行い、高度9000mまで急上昇します。そこから操縦桿を押し倒して、うまく0Gの状態を保つように機首下げすることで、機内は無重力状態になります。ここが非常に難しいところで、プラスマイナス0.01G単位で操縦桿を調整しなくてはならないのですが、もし操縦桿を少しでも動かそうとすると一気に0.1G、0.2G以上、変動してしまいます。よって操縦桿を握る手を強めたり、弱めたり微妙な差で調整する必要があります」(北原機長)

 このとき飛行経路を真横から見ると、ちょうど放物線を描きます。そして0Gを維持しているあいだに降下しスピードが再び1000km/hに達したら、1.8Gから2.0Gの機首上げを行い急上昇し、2回目の無重力飛行に入ります。1回あたり約20秒の無重力状態が生み出され、これを1時間で10回程度、繰り返し飛行します。

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