車の左脇をすり抜けていくバイク! 結局のところやっていいの?悪いの? 明らかに「すり抜け前提」の場所も…弁護士の見解は
長年バイクに乗っていても、「クルマの左脇をバイクですり抜ける」という日常的に見られる行為は法的に許容されるのか――と問われれば、曖昧な認識の人が多いのではないでしょうか。弁護士に聞きました。
信号待ちのすり抜けも違反? 「矛盾するスペース」があるのだが…
バイクの「すり抜け」を直接禁止する条文はないものの、「追い越し」「追い抜き」の場面で、規制外の運転をすれば取り締まり対象となるようです。では、渋滞や信号待ちで多くのクルマが停止している状況ではどうでしょう。ついつい車列の前へとすり抜けて行きがちですが……。
「渋滞や信号待ちで停止している車両の列の間をぬって前に出る行為は、たとえ進路変更がなくても『割り込み等違反』(道路交通法第32条)に該当する可能性があります。これは『停止し、又は徐行している車両等』の前方に割り込むことを禁じた規定で、すり抜け運転が検挙される際の典型的な違反の一つです」(西原弁護士)
しかし、ここで素朴な疑問も浮かびます。首都圏ではあまり見かけなくなったものの、地方都市などではまだ見られる、交差点の停止線付近にある「バイク用停止スペース」です。
あのスペースはどう考えても、横断歩道とその手前30mでの『追い抜き』『追い越し』を経て利用するように思うのですが、西原弁護士はこう言います。
「『バイク用停止スペース』はバイク事故が増加傾向にあった時代に、バイクの巻き込み事故防止などを目的として設置されたものですが、利用は義務ではありません。このスペースに入るために、停止している車列の間をすり抜ける行為は、先述の各種の違反行為に問われる可能性があります。停止線の存在が、違反となる『すり抜け』を許容するものではない点にご注意ください」(西原弁護士)
つまり、「すり抜け」そのものに法的規制はないものの、数多くの条件を満たさない場合は、違反となるようです。最後に西原弁護士はこう結びました。
「バイクのすり抜け運転は『センターラインをはみ出さない』『進路変更を伴わない』『割り込みに当たらない』『危険な速度でない』など、数多くの条件をクリアした場合にのみ、結果的に適法となるケースがある、という限定的なものとご理解いただくのが安全です。パトカーがいる場合に控えるというご判断は、無用なトラブルや危険を避ける上で賢明な対処と言えるでしょう」
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。




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