燃料削減効果は最大17%!「帆船の逆襲」始まった? 実用化された「硬い帆」「巨大な凧」の無視できないメリット

かつて海運の主役だった「帆船」が、最新技術で復活を遂げようとしています。海運業界の厳しい脱炭素目標を達成するため、風の力を利用する「ハイテク帆船」が世界中で誕生しています。

飛行機の翼みたいな「商船の硬い帆」

 世界の物流を支える海運業界がいま、大きな変革を迫られています。

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ウインドチャレンジャー2基搭載船のイメージ(画像:商船三井)

 きっかけは2023年7月、国際海事機関(IMO)で、国際海運の温室効果ガス(GHG)排出を「2050年頃までにネットゼロ」とする新たな削減目標が合意されたことです。

 これを受け、従来の重油を始めとした化石燃料に頼った運航からの抜本的な転換が求められるようになりました。そのようななか、解決策のひとつとして、人類が最も古くから利用してきた「風力」に再び注目が集まっています。

 とはいえ、かつての帆船みたいに「布の帆」を船員が操作するものではありません。その代表格が、商船三井などが開発した「ウインドチャレンジャー(Wind Challenger)」です。

 これは、伸縮可能な巨大な「硬翼帆(こうよくほ)」で、飛行機の翼と同じ原理で、風を受けて推進力(揚力)を生み出します。

 ウインドチャレンジャーを世界で初めて搭載した石炭輸送船「松風丸」は2022年10月に竣工しました。搭載された帆は最大で高さ約53mにも達する巨大なもので、軽量かつ高強度なガラス繊維強化プラスチック(GFRP)複合材などで作られています。

 この帆は、風向や風速をセンサーが感知し、帆の伸縮や回転をすべて自動で制御するのが特徴です。特別な操船技術も必要なく、運航の負担を増やすことなく燃料を節約できます。

 松風丸の実証航海では、航路や気象条件により差はあるものの、日本~オーストラリア航路で平均約5%、日本~北米西岸航路で平均約8%の燃料削減効果がそれぞれ確認されました。また、条件が整った日には、1日あたり最大17%の削減も記録されています。

 商船三井はこの成果を受け、2035年までにウインドチャレンジャーなどの風力推進装置を搭載した船を80隻規模で導入する目標を掲げています。

【これが未来の船!?】「鉄の帆12枚!」のウインドハンターです(写真で見る)

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