燃料削減効果は最大17%!「帆船の逆襲」始まった? 実用化された「硬い帆」「巨大な凧」の無視できないメリット
かつて海運の主役だった「帆船」が、最新技術で復活を遂げようとしています。海運業界の厳しい脱炭素目標を達成するため、風の力を利用する「ハイテク帆船」が世界中で誕生しています。
帆だけじゃない!「巨大な凧」「回る筒」も
風力推進のアイデアは、世界中で開発が進められています。
英国の「BARテクノロジーズ」などが開発した「ウインドウィングス(WindWings)」も硬翼帆の一種です。これまた飛行機の翼のように、推力を最大化するための複数の要素(エレメント)で構成された高さ37.5mの帆が特徴です。
これは、三菱商事の海運事業子会社(MC Shipping)が保有・運航するばら積み船「ピクシス・オーシャン」に搭載され、2023年8月より運航を開始しています。6か月の実証航海において平均14%相当の燃料削減効果が報告されており、新造船への搭載においては、さらなる削減効果が期待されています。
フランスの「エアシーズ」社が開発した「シーウィング(Seawing)」は、帆船とはまったく異なるアプローチをとります。
これは船から「巨大な凧(カイト)」を上空約300mの高さに揚げ、そこから船を引っ張るというものです。日本では川崎汽船が、エアシーズ社のSeawing事業を承継し、実用化・製品化を推進しています。Seawingは約20%のCO2排出量削減効果が見込まれるとされています。
スウェーデンの「ワレニウス・マリーン」などが開発を進める「オーシャンバード(Oceanbird)」は、さらに未来的です。
最新の設計案では複数の硬い帆を搭載し、風力を主動力とすることで、コンセプトとしてCO2(二酸化炭素)排出量を最大90%削減することを目指しています。
また、帆とは別に「ローターセイル(Rotor Sail)」という技術も実用化されています。これは船の甲板に巨大な円筒(ローター)を立て、それを回転させることで「マグヌス効果」という力を発生させ、風力を推進力へと変える仕組みです。フィンランドの「ノースパワー」社などが手掛けており、これも複数の船舶で採用が進んでいます。
もちろん、風力だけに頼っていては、無風時や港湾内での運航、何より運航の「定時性」を保つことができません。
現実的な未来の船の姿は、これらの風力推進装置と、重油に代わるアンモニアや水素、LNGといった次世代燃料で動くエンジンを組み合わせた「ハイブリッド船」になるとみられています。
風力というと「過去の技術」のように思えますが、最新の自動制御技術や材料工学と融合させることで、最先端の“エコパワー”として海運の脱炭素化に向けた強力な「未来の切り札」として復活を遂げているのです。





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