「定期定点クルーズ」に南西諸島のカリブ海化? 2017年、どうなる日本のクルーズ
「観光ビジョン」受け「官」も動き出したクルーズ振興
地中海やアラスカなど世界各地で急激にクルーズが拡大した理由は、カリブ海で始まったこの「定期定点クルーズ」の成功にあったといわれています。
日本市場においては、カーニバル・コーポレーション(アメリカ)傘下のプリンセス・クルーズによる、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を使用した5泊以上のクルーズも行われていますが、これは日本国内のクルーズ会社による企画同様、クルーズごとに寄港地が異なる内容のツアーです。「マス(大衆)」「プレミアム」「ラグジュアリー」に分類される類型としては「プレミアムマーケット」の客船であり、「高級志向の日本人には合っている」(旅行会社)という意見もありますが、クルーズ日程はどうしても長くなりがち。このため、日本市場だけでは参加者を集めきれず、オーストラリアやアジア、欧州といった外国人の参加者も多いようです。
コスタ・クルーズの日本海沿岸における試みは、年間30数回の実施にとどまっているものの、料金が安い「定期定点クルーズ」の出現であり、日本に国際水準のクルーズを定着させるかもしれません。
一方、国土交通省港湾局は、2016年3月30日に政府が策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」を受け、同年9月12日に「官民連携によるクルーズ拠点形成検討委員会」を設立。日本におけるクルーズの拡大戦略を公表しました。
これは、地方自治体が主体となって進める「クルーズ港湾の整備」というこれまでの国策を一歩進めて、官民による「クルーズリゾートの開発」という考え方を明らかにしたものです。琉球新報によると、2016年10月に港湾局が同戦略の一環として公募した「官民連携による国際クルーズ拠点形成計画書(目論見)」に対し、沖縄県の本部港(本部町)、平良港(宮古島市)、石垣港(石垣市)の3港が、ゲンティン香港、RCI、カーニバル・グループの3社と共同でプランを提出しました。日本の港と海外船社が寄港地開発に取り組むという、新しい試みが実現する可能性があります。
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