小さいのに頼れる! 海保の新たな巡視艇「なちかぜ」デビュー “人手不足にも効く”サイズ 配備先は「戦艦大和の最後の出撃港」
海上保安庁の新たな巡視艇「なちかぜ」の引き渡し式が2026年2月5日、東京都江東区にある墨田川造船株式会社で行われました。全長18m、20トン未満というサイズには、海保が抱える人手不足問題を打破する狙いもありました。
小回り効くコンパクトさが武器
海上保安庁は2026年2月5日、新造巡視艇「なちかぜ」(CL-17)の引き渡し式を、東京都江東区にある墨田川造船株式会社で実施しました。
配備先は、第六管区海上保安本部の徳山海上保安部(山口県周南市)です。徳山港は、旧日本海軍の戦艦「大和」が1945年4月1日、軽巡「矢矧」や駆逐艦「雪風」などとともに海上特攻へと出撃した場所です。
「なちかぜ」は、小型の船体と25ノット(約46.3km/h)以上という速力を生かし、島や浅瀬が多く、船舶の往来が激しい瀬戸内海において警備・救難任務に従事します。
2026年現在、海上保安庁は密輸や密航などといった海上犯罪の取り締まりや、救難および防災などといった業務基盤の充実・強化を図るため、老朽化した巡視艇の代替を進めています。
今回、引き渡された巡視艇「なちかぜ」は、2022年3月に1番船が竣工した「はやかぜ」型巡視艇の7番船に当たります。船体サイズは長さ18m、幅4.3m、約19総トン。大型巡視船と比べてエンジンが早く起動でき、陸に近い浅瀬で救助活動を行えるという長所を持ちます。固有武装はありませんが、拡声器や暗視装置、停船命令等表示装置などを備えるほか、船尾には小型汎用クレーンを装備しています。
乗員数は20m型の「ひめぎく」型巡視艇と同じ5人ですが、総トン数を20トン未満におさえたことで、小型船舶の操縦免許でも操船できるため、海保が抱える人手不足に対応した船型と言えるでしょう。
式典では第三管区海上保安本部の戸田陽一総務部長が、瀬口良夫海上保安庁長官の訓示を代読。先代の「なちかぜ」が東京オリンピック・パラリンピック警備などに従事したことに触れつつ、「西日本を代表する臨海工業地帯である徳山下松港において海難救助、海上犯罪の取り締まり、海難救助、激甚化する自然災害への対応、船舶交通の安全確保など、さまざまな業務に就くことになる。最新鋭の装備と優れた機動力を最大限発揮し、必ずや地域の期待に応えてくれると確信している」と述べました。
「なちかぜ」の髙垣勇志船長は「これから警備救難に使わせてもらうことになる。第六管区の瀬戸内海は狭い海域が多く、非常に小回りが利く18m型の『なちかぜ』はそういった海域にマッチした船だと思っている」と話していました。
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。





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