月面探査レース、日本チーム「HAKUTO」の「その先」 進む民間企業の宇宙開発
HAKUTOの「その先」を見据えて
こうして、打ち上げ手段を確保したHAKUTO。チームの探査車が搭載されるPSLVロケットは、2017年12月28日にインドからの打ち上げが予定されています。しかし、HAKUTOが目指しているのは、「Google Lunar X Prize」による賞金獲得だけではありません。
昨年12月、HAKUTOを運営するispace社はJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同で「月面での資源開発に関する覚書」を締結したと発表しました。これは月資源のマッピングから発掘、貯蔵、配送、販売、使用に関するプランをまとめたもの。たとえば月で十分な「水」が確保できれば、飲料用としてだけでなく電気分解して燃料として使うことも可能です。そして月で燃料が確保できれば、火星などさらなる宇宙探査の前線基地として月が利用できる可能性もあります。
さらにispace社は今年3月、ルクセンブルク政府と協力して質量分析計を探査車に搭載することを発表しています。この質量分析計で月面を移動しながら観測し、氷の分布や土壌の物質構成などを調査する予定です。
このように、月面レースを超えさらなる飛躍を目指すispace社、HAKUTOはその飛躍のための架け橋といえるでしょう。日本発の民間企業による宇宙開発のモデルケースとして、今後も大いに注目されそうです。
【了】
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