N700系新幹線を参考に「名古屋JRゲートタワーホテル」開業 設備、利便性、眺望…実力は?(写真32枚)

担当者が新幹線乗車中にひらめき、参考にしたというホテルが名古屋駅直結で開業。キーワードは「眠り」と「利便性」、「トレインビュー」。ビジネス、そして「レゴランド」で注目の名古屋、家族での利用にも配慮されています。

新幹線乗車中に、ひらめいて

「N700系新幹線を参考にした」というホテルが2017年4月17日(月)、名古屋駅直結でオープンします。JR東海グループが運営する「名古屋JRゲートタワーホテル」です。

Large 170415 gatetower 01
2007年より東海道・山陽新幹線で運行されているN700系新幹線(恵 知仁撮影)。

「参考」にされたのは、客室のカーテン。N700系客室の窓と同じ完全遮光のロールカーテンが、同ホテルの客室でも採用されました。カーテンの遮光率は99.99%。昼間でも真っ暗な空間を作り出すことが可能です。

Large 170415 gatetower 02 Large 170415 gatetower 03 Large 170415 gatetower 04
「名古屋JRゲートタワーホテル」の「スーペリアツイン」ルーム。
ロールカーテンをおろす前の窓。
N700系を参考にした「名古屋JRゲートタワーホテル」のロールカーテン。

 このたび開業する「名古屋JRゲートタワーホテル」は「眠り」と「利便性」を追求したといい、遮光率が高いN700系のロールカーテン採用も、明るい時間に横になる人もいるなかで、安眠を提供するためとのこと。ホテルの担当者がN700系に乗車中、カチッと閉まって遮光性が高いことからホテルに使えるのではとひらめいて、採用に至ったといいます。

N700系のカーテンを開けたら、N700系が現れる?

 この「名古屋JRゲートタワーホテル」は名古屋駅のすぐ東側にあり、改札口から客室まで約5分という高い「利便性」がセールスポイントのひとつですが、特に家族連れに喜ばれそうな特徴も持っています。「トレインビュー」です。

 客室があるのは「JRゲートタワー」の18階から24階で、立地は駅のすぐ隣。N700系と同じロールカーテンを開けたら、窓の外には停車中のN700系、といった具合です。“大動脈”東海道本線の名古屋駅が丸見えのため、特急「(ワイドビュー)ひだ」といった在来線の旅客列車、貨物列車も多く見ることができます。

Large 170415 gatetower 05 Large 170415 gatetower 06 Large 170415 gatetower 07
「名古屋JRゲートタワーホテル」名古屋駅(西)側の客室から見える風景。
窓のすぐ下にベンチタイプのチェアが用意されている。
「レゴランド」でも走っているN700系。

 その「トレインビュー」が楽しめる客室に記者(恵 知仁:鉄道ライター)が宿泊し、「トレインビューホテル」として特に優れていると思ったのは「チェア」です。窓へくっつくように、ベンチタイプのチェアが用意されており、子どもがそこに座って、もしくは上がって立て膝をつきながら、行き交う列車を楽しむことが可能。また、ツインルームは浴室に洗い場があり、親子での入浴が容易。家族などでの利用に配慮しているのが、この「名古屋JRゲートタワーホテル」が持つひとつの大きなポイントでしょう。なおこのホテルは、全室禁煙です(ロビーに喫煙室あり)。

 名古屋市では2017年4月1日、テーマパーク「レゴランド」がオープンしました。この「名古屋JRゲートタワーホテル」は「レゴランド」のオフィシャルパートナーホテルで、名古屋駅は「レゴランド」への鉄道アクセス拠点。「名古屋駅直結」という地の利、そして「トレインビュー」で、家族などレジャーの宿泊客を取り込むねらいも見えます。

 ちなみに「名古屋JRゲートタワーホテル」の直下には将来、リニア中央新幹線の名古屋駅が設けられる予定です。

朝食に「名古屋コーチン」、天井に埋め込み式微粒子イオン発生器

「名古屋JRゲートタワーホテル」は全客室が「トレインビュー」というわけではなく、「名古屋駅直結」という「利便性」を生かしてビジネス客の獲得にも力が入れられており、その象徴的なもののひとつが、全客室に設置されているタブレットです。照度や室温の調整、ズボンプレッサーなどの貸し出し備品リクエスト、ウェブブラウジングなどが行えるほか、日本経済新聞社がホテル向けに開発した日本初のアプリで、日経新聞を購読できます。無線LAN(Wi-Fi)は無料です。

Large 170415 gatetower 08 Large 170415 gatetower 09 Large 170415 gatetower 10
部屋のさまざまな設定ができるタブレット。
天井にある埋め込み式の微粒子イオン発生器。
「名古屋コーチン」を使ったタマゴサンドとプリン。

 そして、同ホテルが「利便性」とともに追求したという「眠り」について、先述のロールカーテンほか、シモンズ社製ベッド、遮音性の高いドアや壁、窓を採用。ドアを閉めると、ドア下の隙間もうまります。壁は臭い吸着、調湿機能があるケイ藻土タイル張り(エコカラット)です。また、個別の加湿器は衛生的な問題が出る可能性があることから、埋め込み式の微粒子イオン発生器(ナノイー発生器)を天井に設置。集中管理することにより不快臭や除菌に配慮し、安眠をサポートするといいます。

 朝食はホテル内のレストラン「THE GATEHOUSE(ゲートハウス)」で、和洋80種のメニューが用意されるビュッフェ形式。「名古屋コーチン」のタマゴサンドやプリンなど、「名古屋の食材」も用意されます。クラシックな大邸宅をイメージしたという、エリアによって異なる内装も特徴。200席あり、朝食の時間は6時30分から10時00分までです(9時30分最終入店)。

「名古屋JRゲートタワーホテル」は客室数350。うちダブルが210室、ツインが140室で、価格は1万2800円からです(「モデレートダブル」1泊1名利用、宿泊のみ)。

 ちなみに、同ホテルにあるフィットネスルームも「トレインビュー」。時間を忘れてしまう鉄道好きの人には、特に高い効果が期待できるかもしれません。

【了】

この記事の画像をもっと見る(32枚)

Writer: 恵 知仁(鉄道ライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

2件のコメント

  1. ちょい待ち、マリオットアソシアが既にあった筈だよね?
    東京や京都、大阪なら分かるんだけど、供給過剰にならないか?
    (ハッキリ言って観光要素が・・・レゴランドなんかにしてもどうなの?)

  2. オープン初日に宿泊してきました。
    トレインビュー良かったです。
    しかも初日はドクターイエローの走行日と重なり、部屋から堪能出来ました‼