絶滅危惧ジェットフォイル、25年ぶり新造へ 「ジェットフォイル連合」実現なるか

「海を飛ぶ」とも表現される超高速船ジェットフォイルが、25年ぶりに新造されます。絶滅も危惧されている船で、今回は裏ワザで新造実現。まだ現状は厳しいものの、離島の生活に有用というこの船にとり大きな契機になるかもしれません。

生産が中止されているジェットフォイル

 東海汽船が川崎重工に発注する超高速船ジェットフォイルの新造船建造が話題を呼んでいます。

 そのおもな理由は、時速45ノット(約83km/h)を誇るジェットフォイルが、造船業の常識を超える25年ぶりの新造となること、推進システムなどが従来と同等でありながら、建造価格が51億円と25年前に比べてかなり高額になっていること(バリアフリー化など内装の刷新といった改良が行われているものの)、川重がこれを契機に高速船の量産体制に移行できるかということ、そして同船の船体デザインを2020年「東京オリンピック」のエンブレムデザイナー野老朝雄(ところあさお)さんが起用されること、です。

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東海汽船のジェットフォイル「セブンアイランド大漁」。イラストレーターの故・柳原良平さんがカラーリングを担当した(画像:東海汽船)。

 ジェットフォイルは、毎分180トンもの海水を取り込み、これを噴出すること推力を得て前進する高速船で、港を出ると翼走に移るという船ならぬコンセプトの「船」で、航空機メーカーのボーイングが1960年代に開発しました。

 その後、1989(平成元)年からは川重が独占建造するライセンスを取得。以降、1995(平成7)年まで神戸工場で計15隻を建造しました。

 川重は、「当初から多くて20隻程度」と見込んでいた分を建造したことから、「需要が一巡した」との判断で生産を中止していました。

 しかし、ボーイングで建造された28隻を含めて、多くが老朽化してきたことから、運航する船会社からは建造再開を求める声も多く、数年前から代替建造の計画で造船所との交渉が進められていました。

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コメント

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13件のコメント

  1. ほう、新造に踏み切るか。
    新幹線開通によって利用増に転じた津軽海峡フェリーも発注を検討してはどうか。
    (青函フェリーはやや畑違いだろう)

  2. ジェットは場所によっては最強の交通手段になる。例えば関西空港から徳島や神戸とか。大分から愛媛、高知とか、今は和歌山回りだけど、直行出しても普通にいい。離島も大島とか佐渡島とか、後は北海道と青森もそう。あの区間函館~三厩とかを在来線がわりにすればいいとおもう。今の新幹線状況じゃ高いし本数も少ない。それなら今後函館~札幌の新幹線に力入れられる。正直この区間が一番新幹線必要な気がする決まっちゃったからなんだけど、できれば南回り。函館陸の孤島みたいな状況だし。

  3. 香港とマカオ間は高速道路が開通してしまうと、需要が無くなりそうだからなあ
    結局日本国内しか需要がないのかなあ

  4. 佐渡汽船もそろそろやばそうだし、一口乗ってもいいんじゃないかなあ。

  5. 関空神戸間のジェットフォイルってそんな亡くなった子(2002年に事故を起こして撤退)のことは思い出さなくても……。

  6. 海自が一時保有してたミサイル艇1号型が兄弟機なんだよね。
    あっちは想定してた北の海で運用できず引退したけど。

  7. 鯨サンに気をつけてね

  8. ナンジャコリャ? このカラーリングは特攻機を意味してるわけ? クジラに突っ込むつもりなんだな!

  9. 造船(製造)側は1隻1隻を個別にでは効率悪く採算も取れないのは当然と言えば当然。現在、東海汽船が検討提案しているように、ジェットフォイルを所有・運行している会社同士が綿密に計画して「取り纏め」をする事が必須ですよ。是非とも各社の足並みが揃う事を願っています。

  10. 経済的でないのが絶滅危惧の原因では。
    51億の1/3でディーゼル+ウオータージェットで40ノットでるCatamaranが買えるのに
    なぜ60年代設計で燃費の悪いガスタービン+ウオータージェットのJetFoilを買いたがるのか不思議。
    最多の現役JetFoilを運用しているTurboJetは既に新規発注分はCatに切り替え済み新規発注は見込めず。
    儲からないから川崎には事業継続の意思はなさそうにみえる。
    サポートを考えると日本製が良いけど、日本のメーカーは経済的で競争力のある小型高速船が作れず他に選択肢がないってことか。

    • そんな問題が有るのですね。

      全然、知りませんでした・・・・

  11. どれくらいの需要があるかと費用対効果が,カギでしょうか
    先のコメントで,大阪・関西空港~徳島ってご意見がありましたけど,たしか,双胴型の高速船や水中翼船が過去に採算が合わず撤退していたはず
    大分~愛媛も現行のフェリーが需要バランスが合致しているのかも
    いくら所用時間が短くても,旅客に限定すると採算は微妙になるのかもしれません
    まして大分~高知となると通年での旅客需要は周辺人口から想像してもキビシイでしょう
    大阪湾や瀬戸内海という小さな離島が多く航路が限定され大小の通行船舶や小型漁船がひしめいている環境下ではジェットフォイル本来の性能(高速巡航)が生かせないだろうから,やはり用途は限定的になってしまうのかな

  12. ちなみに津軽海峡でもジェットフォイルが就航してたりナッチャンRera/Worldという高速船も就航してたんだけどねぇ……。
    好漁場もあって割と高速船が立てる波が邪魔なのと結局あそこの肝は「自動車輸送」だから。