「満席は難しい便」ANA、なぜ飛ばすのか? 物理的に容易でない成田~メキシコシティ線(写真10枚)

なぜANAは「満席は難しい便」を運航するのか? 火花散るメキシコへの空

 ANAはなぜ、「満席は難しい便」を運航するのでしょうか。折り返し時間が長い点も、効率的ではありません。

 現在、アメリカなど世界40カ国以上とFTA(自由貿易協定)を締結しているメキシコには、関税や地理的な優位性から、多くの日系自動車メーカーや自動車部品メーカーが拠点を設置。メキシコへ進出した日系企業数は2017年には1182社と、過去10年で3倍にもなりました。

 そこへ先駆けて就航し、「定着」することに、大きな意義があるといいます。

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標高2230mにあるメキシコシティ国際空港。奥にANA機(2018年1月、恵 知仁撮影)。

 日系航空会社による日本~メキシコ線は、2010年にJAL(日本航空)が撤退(バンクーバー経由便)。日本とメキシコを結ぶ路線はアエロメヒコ(メキシコのフラッグキャリア)しかなかったところへ、2017年2月15日、ANAが就航しました。

 この2018年2月、条件により「満席は難しい」という制約があるなか、ANAがあえてメキシコへ就航してから1年が経過。ANAは「非常にチャレンジングな路線開設でしたが、『利便性や快適性が格段に高まった』と直行便に対するお客様からの評判もよく、メキシコといえばANAということがマ-ケットにも浸透してきており、非常に手ごたえを感じています」と話します。

 対しJALは2017年10月、成田~メキシコシティ線を運航するアエロメヒコと、2018年度中にコードシェア(共同運航)を実施すると発表。日本とメキシコを結ぶ空でいま、火花が散っています。

 なお、ANAが現在メキシコ線で使っているB787-8型機のエンジン(ロールスロイス TRENT 1000-L)より、燃費や推力を向上させたエンジン(ロールスロイス TRENT 1000-TEN)の商用化が進んでおり、将来的にこの「制約」が改善される見込みがあります。

 ちなみに、ANA最長のこの路線、所要時間は成田からメキシコシティが12時間15分、メキシコシティから成田が14時間35分です。

【了】

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Writer: 恵 知仁(乗りものライター)

鉄道を中心に、飛行機や船といった「乗りもの」全般やその旅について、取材や記事制作、写真撮影、書籍執筆などを手がける。日本の鉄道はJR線、私鉄線ともすべて乗車済み(完乗)。2級小型船舶免許所持。鉄道ライター/乗りものライター。

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コメント

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6件のコメント

  1. 既存他社が飛ばしていた路線にダブルトラックを仕掛けることが“先駆ける”という表現になるのか?
    記事云々の前に、なんかこう・・・。

  2. 羽田や成田からだと儲からないかもしれない路線ですらガンガン飛ばすのに、関空だと中国路線だけ、それ以外だとコードシェアでお茶濁すANAのヨイショされてもなぁ……。

  3. 興味を持って記事を拝見しました。
    この記事の中に「偏西風に逆らう西行き。」とありますが、西行きは偏西風に乗って飛ぶのではないでしょうか。私の勘違いでなければ、東行きが偏西風に逆らうルートだと思いますが。

    • 偏西風は「西から東」へ吹く風ですので、記事の「偏西風に逆らう西行き」という文言は間違っていません。
      「東から西」へ吹く風は赤道付近の「(北東/南東)貿易風」、もしくは極付近の「極偏東風」です。

    • 私もはじめ、西と東が逆かな? と思いましたが、本文の1行目に「メキシコシティ発成田行きNH179便は」とあるので、向きは正しいですね。以降の文章で成田~メキシコシティとなるし、国際路線の紹介記事はたいてい、日本から海外という書き方になるので、その先入観があるとさらにややこしい。1行目に、「成田~メキシコシティ線は、行きは追い風、帰りは逆風」とでも置けば読みやすかったと思います。

    • 細かい事を言えば、メキシコシティは北緯19度なので貿易風のエリア(南北ともに概ね緯度30度以下)にありますが、飛行ルートは大圏コースに近い北寄りになるので偏西風の影響を受けます。