「移動式銀行」なぜいま注目 地方向けサービスから都市へ 呼べば「ATMが来る」時代に?

「移動式店舗の先駆け」に聞く、その役割

 このようなATMを含む移動式店舗を導入しているのは、おもに地方の金融機関です。他行に先駆けて導入した銀行のひとつに、岐阜県大垣市に本店を置く大垣共立銀行(OKB)があります。同行に話を聞きました。

――移動式店舗はいつ、なぜ導入されたのでしょうか?

 2000(平成12)年4月に移動式店舗「ひだ1号」の運行を開始しました。この前年の12月、当行は岐阜県北部に位置する飛騨地方の営業拠点として高山市内に支店と出張所を開設したのですが、広大な飛騨地方すべてのエリアをカバーするのは容易ではありません。そこで、窓口とATMを載せて地域を巡回営業する全国初の移動式店舗を採用したのです。

 この車両は、お客さまに待ち時間を快適に過ごしていただけるよう「いこいラウンジカー」を帯同して営業していましたが、2台の機能を一体化し、ラウンジ機能も搭載した車両拡幅型の「スーパーひだ1号」へと2009(平成21)年にリニューアルしました。現在は「OKBスーパーひだ1号」に改称し、飛騨地方を週4日巡回営業しています。

――その後、移動式店舗を増やしていったのでしょうか?

 はい。まず2006(平成18)年に、「自然災害発生時にOKBができること」をカタチにした「レスキュー号(現・OKBレスキュー号)」を導入しました。衛星通信を利用したATMのほか、AEDや携帯電話の充電器など、災害時に役立つ機能を装備しています。平常時には「OKBマネープラン1号」として、地域のイベント会場へ出張し相談業務を行うほか、防災イベントなどでの啓蒙活動も行っています。

 2016年12月には、愛知県の東三河地方を巡回営業する「OKBスーパーフロンティア号」が運行を開始しました。この2年前、当行は豊橋市内に2支店を開設して東三河地方への進出を果たしており、より多くのお客さまにOKBを知っていただくために導入したものです。地域やお客さまのニーズに合わせ“どこへでも行く”移動式店舗として、イベント会場などにも出動しています。

 さらに2017年11月には、小型の移動式店舗「OKBサザンウィンド」を導入しました。小型の機動力を活かし、東海地方にあるコンビニエンスストアの駐車場などスペースの限られた場所で営業しているほか、お客様のニーズに合わせて地域のイベントなどへも出張しています。

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左上から時計回りに「OKBスーパーひだ1号」「OKBスーパーフロンティア号」「OKBサザンウィンド」「OKBレスキュー号」(画像:OKB大垣共立銀行)。

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 もともと、銀行から遠い地域にサービスを提供すべく始まった移動式店舗。大垣共立銀行はそのメリットについて、「移動できるため、地域やお客さまのニーズに合わせた営業が可能」だといいます。

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