【空から撮った鉄道】寝台特急「北斗星」の推進回送 24系の開放貫通路を捉えた!

北斗星が廃止となってから早3年が経ちました。ラストラン直前の2015年7月、尾久~上野間の北斗星推進回送を狙いました。

機関車が後ろから押す

 2015年は「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」、ふたつの寝台特急が去った年でした。2015年の幕開けから、バタバタとしながらあちこちで撮影していたのを、いまでもはっきり覚えています。

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尾久車両センターで「北斗星」24系編成に電気機関車のEF510形を連結。ここから機関車を「後ろ」にして上野駅まで回送される(2015年7月13日、吉永陽一撮影)。

「トワイライトエクスプレス」の話はまた今度にして、今回は「北斗星」、しかも「推進回送」と呼ばれる特殊な運転を空撮したことについて話します。

 推進回送というのは客車を先頭に、後ろから機関車が押す運転方法のこと。とくに尾久車両センターから頭端構造の上野駅へ向け、本線上を客車が推進回送するのは全国唯一の存在です。夜行列車が多かった時代は、日に何本もの客車列車が尾久から上野まで推進回送され、上野駅では客車が先頭になって登場してくるシーンが毎日次々と見られました。

 先頭の客車貫通路は開け放たれ、「ラッパ屋」と呼ばれる推進運転士が前方を注視し、低速で本線上を走行していました。日暮里駅や鶯谷駅にいると客車が先頭になって走り去っていく光景が日常で、昔はとくに気にも留めなかったのですが、客車列車が減っていくと「もうこの光景も珍しくなったな」と、気になる存在となっていき、消えつつある推進回送運転を空撮して記録しました。

 2015年、推進回送の行う客車列車は24系「北斗星」か、E26系「カシオペア」でした。しかし、E26系は車端部が展望スイートルーム。最後尾に推進運転士が乗務しても展望ガラスの内側に立つため、空撮してもほぼ分かりません。そこで残るは24系の「北斗星」のみ。24系ならば貫通路が開放され、推進運転士が乗務する姿が見えます。

「北斗星」は3月に定期運行を終えた後、多客時を中心に臨時列車で運行していました。推進運転は15時台です。夕方のため斜光になって影が出やすくなる時間帯ですが、よりディティールを見せたいので、陽がそんなに傾かない季節まで待つことにしました。

 梅雨が明けるか明けないかの7月なかば。事前に下見をして推進回送の流れを見ておこうと尾久へ行くと、ラストランへのカウントダウンも始まり、沿線にはファンの姿がちらほら。いよいよ北斗星も無くなるんだなと、少々寂しい気持ちになります。私は可能ならば空撮前に下見をすることにしており、列車の動きや沿線の構造物をチェックしていると、どこをどういう風に切り取ろうかとイメージが湧きやすいのです。

鉄道ファンではないパイロットにどう説明する?

 7月13日、空撮を決行。この日は晴れていたものの風が強く、狭い機内ではよく揺れるため、機材を機内の窓枠に強打してしまわないよう神経を使います。シャッターを押そうとした途端に風で揺れてしまい、ファインダーがずれてしまうなんてことはしょっちゅう。その度に何度か旋回してもらいます。広域ならば比較的楽ですが、望遠レンズを使って連結シーンを狙うときはピンポイントの撮影になるため、より神経を使いました。

 こうして尾久車両センター内でのEF510形電気機関車の連結から推進回送発車まで狙います。発車後はひたすら先頭の24系を追って、寄りから引きまで様々なアングルで撮影。とくに空撮ではないと撮りづらい東北本線との合流付近では「風で揺れないで」と願いながら、合流する一瞬を狙いました。

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上野駅に向かう「北斗星」回送列車を、高架の東北本線と合流するポイントで狙う。先頭の貫通扉が開いている(2015年7月13日、吉永陽一撮影)。

 推進回送する「北斗星」は、上空から眺めると逆走しているように見えます。私は動画ではなくスチールのため、一瞬で切り取った一枚で客車が先頭を走る姿を表現せねばなりません。必然的に編成全体よりも先頭の24系を中心に撮影しました。

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常磐線貨物支線(田端貨物線)との立体交差部を進む(2015年7月13日、吉永陽一撮影)。

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Writer:

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。日本写真家協会(JPS)正会員、日本鉄道写真作家協会(JRPS)会員。

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