東京圏「残り」の地下鉄計画 実現の可能性が高い路線と低い路線
10年前の東京メトロ副都心線開業でひと息ついた東京の地下鉄建設ですが、もっと地下鉄を建設しようという動きはあります。現在構想されている地下鉄新線のうち、実現の可能性が高い路線はどれでしょうか。
おおむね完成した地下鉄ネットワークだが…
東京圏の鉄道網はこれまで、運輸大臣の諮問機関だった都市交通審議会(のちの運輸政策審議会)と、運輸政策審議会の機能を引き継いだ国土交通大臣の諮問機関・交通政策審議会の答申に沿って整備されてきました。
地下鉄の整備計画に関する答申は、過去2016(平成28)年、2000(平成12)年、1985(昭和60)年、1972(昭和47)年と、おおむね15年おきに行われています。
上の路線図は1972(昭和47)年3月、都市交通審議会の第15号答申で示された地下鉄ネットワーク計画です。黄色い線は答申の時点で開業済みの区間、赤い線はその後開業した区間、赤い点線が現時点で未開業の区間です。
答申時点の地下鉄路線は営団と都営をあわせて140km弱と現在の半分以下。有楽町線、半蔵門線、都営新宿線はまだ1区間も開業していませんが、現在の地下鉄ネットワークの骨格は、この時点でほぼ出来上がっていたことが分かります。
2008(平成20)年6月14日の副都心線開業により、東京圏の地下鉄は約90年の年月をかけて、1号線から13号線までひと通り完成します。2004(平成16)年に営団地下鉄から民営化した東京メトロは、副都心線を最後に新線の整備主体にはならないと表明しており、東京の地下鉄の整備はこれでひと区切りとされました。
しかし、実際には答申で示された地下鉄はまだいくつか残っています。そのほとんどが既存路線の延伸や分岐線の計画ですが、2016(平成28)年に行われた最新の答申である交通政策審議会第198号答申でも引き続き取り上げられています。
引き続き取り上げられたということは、東京に地下鉄の新線を建設する可能性がまだ残っているということ。実際に新しい地下鉄が建設される可能性はあるのか、構想されている各線の現状と建設の可能性を探ってみましょう。
実現の可能性が高い計画
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Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx